ひとくふう荘 11 (ページ33)

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あら？センガさんがお手手すりすりし出した。
ニカさんはお手手を広げてお肩を竦めてみせる。

『千賀〜。《トラ・イヌ・タヌキの皮は三者三様》って知ってるか？』
『ニカ、それを言うなら《取らぬ狸の皮算用》。』
『ソレ。』
『どれだよっ！？いや、何処が合ってたんかもはや分からんわ！！』
『てか、千ちゃんよく分かったな…。』

い、犬の皮…？
ニカさん。僕のお肌をどうしようと思ってたの？
ヤダコワイ。ぶるぶる。

『大体さ、今ドンブリってそんなに目立っていいのか？ややこしい奴らに狙われるんじゃね？？』

『んなこと言ってたら散歩にも行けねーし。』

みんなはおすわりしてる僕を見ながら、なんだかウンウン頷いてます。

『ま、なるようになるべ。どうせその爺さんにゃバレてんだし。ドンブリにはキツネっちがついてるしさ。』
『……それが心強すぎる。お稲荷様のキツネさんが後ろ盾の犬…完全無敵なんじゃね？』

でもご準備してから来てくれるから、時々本当に来てくれるのか心配しちゃったりしたりして。
それって、僕が自分で何とかせずにキツネさんに解決してもらおうとしてるってことでしょ〜？
お忙しいキツネさんが更にお忙しくなっちゃう。
確かに今回の黒いモヤモヤさんは絶対僕たちだけじゃ無理だったけど〜。キツネさんに頼ってばかりはやっぱりダメだよね〜。

………むぅ。自分でお祓いとかお清めとかできればいいのになぁ。
おまじない覚えたらできるのかなぁ？

あ！僕、おまじない言えないや。わんこだもん。

あとね。神様しか本当に祓ったり清めたりはできないって、キツネさんは仰ってた。
キツネさんはそのお力をご自分のお身体を依代にして使えるけれど、人間は依代に込められたそのお力を更にお借りするだけだから、そんなに強いえねるぎいは使えないんだとか。

えと。ちなみに僕の青い炎は神様が下さってるお力じゃなくて僕自身のお力なんだって。
だけど、ハツドウするにはそれなりの僕のお心の高まりが必要なんだそうで……ん〜、分かんない。

とにかく、やっぱりキツネさんを頼りにするしかないのかなぁ。
何かひと工夫できないものかしら？？

『………吾妹子、また考え込んでいるのかえ？もうそろそろ裏に行かねばならないのだろ？？』

気が付けば、音もなくトシコさんが僕の後ろにいらした。
そっと抱き上げられて、思わずしっぽフリフリしちゃう。

キツネさん。あのね〜、僕たちだけでお祓いとかお清めできる方法をお訊きしたかったの。