ひとくふう荘 11 (ページ31)

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『………ふむ。ニカイドォ、お前が視たのは私と同じ者のようだよ？私には少し違うように視えたが、それは今まで生きてきた過程で覚えたものを当てはめて視ているからだろう。精神的な力の存在だもの。

そうかえ。お前も……私のせいなのか、それとも私の憑依が呼び水になっただけなのか。』

しばらくニカさんを眺め回したトシ子さんは、ニッコリと微笑んだ。

『不安になることはないよ。今のところ視ようとしなければ視なくて済むようだ。何か困ったことがあれば私のところへおいで？

……ああ、人と違うことは時に怖いね？人に見られることが怖いようにね。
キタヤマが良いことを言ったよ。《無視モセズ聞キスギモセズ》。その目がお前の未来に必要だから備わったのかもしれないと思うのだ。
吾妹子をご覧。この小さな身体にたくさんのものを背負っても尚、ただ真っ直ぐにお前たちの幸せと己の喜びを求めて生きている。

お前のその目も《怖がり》なところも、いつかの誰かの幸せの為にある……ねぇ？そう思わないかえ？？』

ニカさんは俯いて聞いてたけれど、やがてゆっくりとお顔を上げる。

『俺の幸せは《７人一緒にいること》なんだ。』

みんなはお目目パチクリ。
ニカさんが、あの照れ屋なニカさんが、ハッキリとご自分の思いを打ち明けたから。

『…だから、その為に使える力なら何だって使う。オバケ視えたって…構わねぇ。…多分。』

『ニカ…。』

ガヤさんが思わずニカさんをお背中から抱き締めます。
ヨコオさんはニカさんの頭をくしゃくしゃと撫でる。キタヤマさんとミヤタさんとタマさんもそれを見ながら泣きそうなお顔で微笑んでて…。
ニカさんは《暑苦しいって！》とかぶつぶつ言いながらお口を尖らせた。

１人だけ…センガさんは少し離れたところで、ニカさんのお顔をじっと見つめてから…。

『ニカ、俺はニカの相棒だから。それだけは忘れんなよ？』

『…ああ。頼むわ。怖いのはお前に言うから！』

『言われても視えんけどな？』

笑い合い、握った拳をぶつけ合う。

…んふ。こちらも爽やかぁ！
全く違うように見えても、お２人はかけがえのない《相棒》なんだもん！
ご自分がどうなるのか怖くても、そんな《相棒》さんやお仲間が必ずそばにいてくれる。
……素敵素敵！とっても素敵〜っ！！

僕はふとトシ子さんを見上げた。
トシ子さんも僕を見てくれた。

それだけで僕はなんだか全てが上手く行くような気がして、しっぽをゆらゆら揺らしてみせた。

fin.