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『………もしもし?棗くん、スタッフさん呼び戻して?うん。お願い!』
あら、またいつの間にクラタさん。
僕、クラタさんがそばに来てても分かんない時あるの。忍び足がお上手なのかな?
『みなさん!本当にありがとうございました!僕のことといい、吉山さんのことといい重ね重ねありがとうございます。
結局、吉山さんは…?』
クラタさんがそばに座る。
キタヤマさんは頭を掻いた。
『俺たちには詳しいこと分かんないんだけど、どうやらネットの中の妖に操られていた感じ?吉山くんって普段から自信ないタイプなの?』
『……ん〜、そうですね。こういうイベント増えてきて1番戸惑っている感じは醸し出してました。男前で背も高いし身体も鍛えてるから不安なんてなさそうなもんですけど。引っ込み思案というか。写真撮影でもいつも後ろにしてくれって言ってたな。』
『自信のない心の隙間に妖が入り込んだのか。こんなに積極的に憑依することあるんだな。いつもとなんか違った。』
『吉山くん、昔、太ってたんだって。いじめられっ子だったらしいって初田くんが話してた。だから自信が育ってないんじゃないかな…なんか分かるわ、その気持ち。受け入れてもらえないかもしれないから踏み出すのって勇気要るんだよ。』
ミヤタさんが哀しげに微笑むと、今度はタマさんが心配そうにミヤタさんにお尻くっつけます。
『…俺にはタマやみんながいたし、大丈夫。吉山くんも初田くんが変えてくれるよ。』
すると、クラタさんが何かを思い出したかのように、おずおずとミヤタさんの耳許にお手手を当ててコショコショし出しました。
『あのぅ、下世話なお話なんですが…宮田さん。』
『……はっ?謝礼??い、要らない要らないっ!』
『でもプロでしょ?イベント費用からは出しづらい項目なんで僕のポケットマネーからとチーフディレクターも出すって…ただその…何ぶん安月給でして…月賦か、ね、値下げをできないか訊いてこいと…。』
『いやいやいやいやいやいやっ、俺は声優!!みんなお仕事してるし!オカルトコンサルタントじゃないから〜っ!』
ミヤタさんが慌てふためいてお手手振り回してます。
強いて言うなら、キツネさんだけは本当のプロというべきかも〜?
『だ、だから、今度奢って?横尾さんのお店でさぁ。夜はお酒も出るし。それでチャラ!…ね?』
あ、横尾さんも参戦します。
『俺はお仕事を円滑に進める為に必要な作業だったんで。お気ににゃさらず!』

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作者名:みあん | 作成日時:2022年8月6日 0時