ひとくふう荘 (ページ9)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:30,644 hit

2 ページ9

『今日はみんな食べてくるって言うから、俺も適当にコンビニでおにぎりとかにしたぁ……あ、ラーメン作ろうか。』
『やた〜っ！お願いしますっ！』
『担々麺風か、オム焼きそばか……。』
『…担々麺っ！ただいま、ドンブリ〜。』

おかえり、タマさん！

タマさんはお着替えとうがい手洗いの為に、１階へ降りて行った。
ガヤさんは、エプロン着てお手手洗って、冷凍庫から袋を出して、カサカサの葉っぱや細かいお肉をフライパンに入れた。

ラーメンって、僕はまだ食べたことないなぁ。

みんな何故だかこだわりがあって、７種類の袋入りをメニューによって使い分けるんだって。ひと工夫したらもっと美味しくて、楽しくなるから、うちには欠かせないご飯なの。
非常用にもいいんだよ！？

あ、お父さんも好きだったんだ〜。僕のお名前はラーメンに欠かせないおっきなお鉢のことなんだって。

……お父さん、元気かなぁ。

ちょっと思い出して、切なくなっちゃった。
こういう時は、お父さんが使ってた枕にお顔を突っ込んで寝るの。お父さんがシセツに行く時にタマさんがお父さんが朝まで使ってた枕を貰ってくれたの。僕の寝床に置いてくれてあるんだ。
勿論、時々カバーは洗うんだけど、奥のほうにお父さんの匂いがして、安心するの〜。

『ただいま〜っ！』

あれ？もう１人帰ってきたよ？
こちらもベランダからのご帰還です。ガヤさんがびっくりしてる。

『あれ？おかえり！北山先生、学年の先生とご飯食べに行くんじゃなかった？？』
『それがさ、急に学年主任の奥さんが入院しちゃったのよ。盲腸炎だと。』
『マジかぁ！今の時期の入院って大変なんでしょ？』

キタヤマさんです。
マスクにジャージ姿で現れると、ほんと高校生みたい。童顔なの。
手早くジャージの上を脱いで、除菌スプレーを掛けてベランダに干してる。怖い病気があるから、用心の為なんだって。

『コロナ禍だから、手術日とお迎えの日以外はあんまりお見舞いもできないらしい。今の手術は腹腔鏡で早く退院できるから良かったけどさぁ。とにかく入院道具掻き集めなきゃって、早退してった。で、メシ会はお流れ。俺の歓迎会含めてたんだけどさ、どうせならみんなで気兼ねなくやりたいもんな〜。』
『まぁな〜。俺も最近職場でメシ行ってねぇわ〜っ！少人数短時間だから、カフェとか女性の好きなとこでお茶はあるけどさ。』

小学校と幼稚園の先生だから、特に厳しく制限されてるみたい。よく分かんないけど大変なんだね。