ひとくふう荘 (ページ32)

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それからしばらく４人は明日のらいぶのぷれいりすとを見ながら、手順やお話することを決めて…。
あ、しばらく後から下りてきたタマさんとミヤタさんもね？

音の機械はミヤタさんのお友だちが夜から来てくれて、がっきに何かくっつけたり、モシモシやちっちゃいテレビを見て、お試ししては確認してたよ。

『ありがとう、さっくん。助かる〜！』
『音響の友だちの私物なんで！あ、借りる時に訊いた器具の名前と手順書いておきましたから！僕の大切な宮田先輩の為なら、ドンとこーい！明日のライブも仕事場で観ますね。周りにも教えておきます。』
『嬉しい！』

ミヤタさん、本当に嬉しそう。

『撮影もするんですよね？千賀くんが編集も！？すげー！是非是非ダビングお願いします〜。てか、また遊びに来させてもらっていいっすか？？』
『いいよっ。』
『やた〜っ！！』

センガさんが踊りの振付をした声優さんなんだって。ミヤタさんとは声優の学校の先輩後輩とか。明るくていい人だねぇ。

……あれ？タマさんはちょっとムッとしてる？

『さっくん、２階でジュースでも飲んでっ！』
『あ、いただきます〜っ！』
『……早く帰んなさいよ。』
『タマ？何か言った〜？？』

な、何だろ？タマさんから、感じたことのない黒いもやもやが……怖いかもぉぉぉっ！！？
……よく分かんないけど、サクマさん、早く逃げたほうが良さそうだよっ！？

『俺のとっておきのアイスも出すわ…。』

タマさんがゆらりと立ち上がって、２人の後から２階へ上がっていった。
た、タマさん…ドア閉めて。怖いからっ！！

他の４人は何も感じなかったみたいで、サクマさんが持ってきてくれた機材の使い方を確認してる。

お父さん、僕、怖いっ！どうか何事もありませんようにっっ！！

でも、その時………。

『きゃぁぁぁーーーーーーーっ！？』
『た、タマっ？やめ…っ、んっ！！』

……ああ、やっちゃった。

２階から聞こえる悲鳴に、僕は思わずしっぽを足の間に挟んでうずくまっちゃった。
４人は呆然。

しばらくして車が発進する音が聞こえて。
タマさんが、口許を拭いながらお部屋に帰ってくる。

『何があったの！？さくまは？？』
『帰った〜！』

さっきとはうって変わってご機嫌なタマさん。

『え？宮は？？』
『……んふ。』

……ミヤタさんは、それからしばらくお部屋に帰ってこなかった…いや、これなかったみたいです。

お父さ〜ん！恋ってほんわか優しいだけじゃないんだねぇ…。