ひとくふう荘 (ページ4)

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ドンブリ、お散歩。ページ4

おっ散歩〜っ！！！テンション上がるぅ〜〜！
うっれしいなっ！！

足取りも軽やかに…いや、結構リードを引っ張り気味に、僕はアスファルトをカリカリ歩く。
朝の湿った空気が美味しいよ！

朝のお散歩はね、午前６時。
夜は日によって違うんだけど、朝はタマさんが必ず行ってくれるの。
新しく、８人の…じゃなくて、７人と１頭？の生活が始まって１週間。いろんなことが変わったけど、この朝のお散歩だけは変わらない。

……あ、ううん、ごめん、これも変わったんだった。
朝はタマさんとミヤタさんの２人で、僕をお散歩に連れて行ってくれるんだよね。
賑やかになったの。んふふ〜！

『家じゃアニメ観るかゲームするかだろ？不健康だから、朝は散歩付き合えっ！』

最初は、タマさんが眠そうなミヤタさんを叩き起こして、無理矢理連れてきてたけど、７日目にして、ミヤタさんも自分から起きて僕にリードを付けてくれるようになったよ？

『いやぁ、朝の空気は気持ちいいわ。』
『俺もドンブリのおかげで、朝起きられるようになったから……ね？ドンブリ。』

僕のおかげ？んふふ！

山の上の神社からは、くるりとこの街が見渡せるの。２人もお気に入りみたい。

『今日も下界がよく見えるぜっ！』

ミヤタさんは額に水平に伸ばした手のひらを当てて、今日も街を眺めた。

『その下界で仕事してて悪うござんすね〜。』
『ま、それ言い出すと全員下界の人間なんだけどさ〜。』

なんて言って２人でくふくふ笑ってる。
じゃ、僕だけ下界の生き物じゃないんだね〜。
…って、《下界》って何かしら？

『でも、ここは空気がいいよね。何か喉にもいい感じ。』
『だろ？だからオススメしたの。』

ミヤタさんの言葉に嬉しそうなタマさん。

『ん。ありがと。……まあ、俺はタマと同じ屋根の下で暮らすだけでも……嬉しかったんだけど。』

あ、ミヤタさんの可愛い甘え声が出た。
タマさんが明らかに狼狽える。

『………な、何でだよ。』
『……あ〜、だってゲームも隣で教えてもらえるし〜、タマの煮物とかご飯美味しいし。あ、毎日服のスタイリングしてよ。アニメＴシャツをカッコ良く着こなしたいの、俺！』
『……んだよ、そんなことかい。』
『え？』
『何でもな〜い！』

………あらま、じれったい。

そこまで言ったんだから、はっきり言えばいいのにぃ。
あのさぁ、犬でも分かるよ？どっちもお互いを意識してんでしょーーー！？