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もうね、タマさんがお散歩の前から緊張してるのは分かってたの。
車の中でミヤタさんに甘く告白されてから、タマさんは喋れなくなっちゃって。
僕、お耳がいいからね?タマさんの心臓の音が早くて大きく鳴ってたの知ってたよ?
その後、小さなお声で…。
《……宮田さん、後でさ、またドンブリのお散歩行く?》
って、タマさんからお誘いしたの。
《…ん。行くよ〜。タマと一緒なら〜!》
ミヤタさんはニッコリして言ってたけど、実はやっぱり心臓の音がおっきくて早くなってた。
でね、晩ご飯の前に公園行って〜…。
2人は公園で、街の景色がよく見えるベンチに並んでお座りした。
僕のリードを持ったタマさんの指がもじもじしてる。珍しいかも?
ミヤタさんも左右に横揺れしながら、今見てるアニメやお仕事の話してるけど、お手手はお散歩バッグにくっつけたちっちゃいラーメンのキーホルダーをもじもじしてて。
『……タマ?話したいことあるんでしょ?』
お喋りが一区切りついて、ちょっと黙った後。
ミヤタさんが思いきって大事なお話に突入した。
『ん。車の中で…言ってたじゃん。今も変わらないって…《世界で一番好きなのはタマ》の気持ち…。』
タマさんはポツリポツリと丁寧にお話を始める。
『その《好き》は…さ、どの《好き》なのかなって…。い、色々あるでしょ?』
『タマが…タマが選びたい形で構わないよ。』
あら、ミヤタさんたら、タマさんに丸投げしちゃった?まだ自信がないのかなぁ。
『俺は、タマが俺にそうあってほしいと思う立場でいいよ。
だったら《好き》なんて言わなくても良いじゃんって言われそうだけど。言わないと、俺も踏ん切り付かないなって…。』
『踏ん切り?』
『タマを元気にしてあげられるのは俺だけだって…タマの1番近くにいるのは俺だって自負してきたけど、ドンブリみたいにもっとタマを元気にできる人がいるかもなぁって考えたら……ちゃんと親友の1人にならなきゃいけないと思ったんだよね。
そのほうがタマの為にできることが増えるかもしれないし。
そんで……自分を誤魔化しながら生きるのもやめなきゃって。ドンブリとおじいさんみたいにさ、いつタマが俺から離れても後悔しないように………。』
タマさんの顔が顰めっ面になっちゃった。
『……ビビり。』
『ん。ビビりだからさぁ、タマの前から消えることもできないんだよな〜!ごめんね!』
僕はベンチによじ登り。タマさんの隣に座り込んだ。
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作者名:みあん | 作成日時:2021年10月3日 15時