27 近くていい店 ページ27
季節の野菜天ぷらとお蕎麦で千円からお釣りがくる良心的な値段なのに味は本当に美味しい。
会社のすぐ近くにこんないい店があるなんて知らなかった。
櫻井さんは鴨南蛮蕎麦の大盛と揚げ出し豆腐。
ずぞぞぞ・・っとすごい勢いで食べ進めていく。
「美味いでしょ」
「はい」
両方のほっぺが膨れるほど口いっぱいに入れた蕎麦を大きな動きでモグモグ噛み、顎を少し上げて飲み込む時にはゴックン！と音が聞えてきそうな程に喉仏が上下した。
食べ初めて５分も経っていないのに、櫻井さんのどんぶりはほぼカラになりつつある。
社食で見て営業の人は早食いだなと思ってはいたけれど、想像以上だ。
揚げ出し豆腐に手を付け、それも大きな口で食べていく櫻井さんの向かいで、私はわざとゆっくり食べる。
食べ終わるのが怖かった。
目の前のこの人に何を言われるのか。
秋月さんには仕事の話がなんて言っていたけれど、おそらくそうではないだろう。
どんなにゆっくり食べたってざる蕎麦にそんなに時間が掛かるわけでもなくて。
最後に残しておいた海老の天ぷらだって二口あれば食べ終えてしまう。
箸を置き端に置かれた緑茶までも飲み干して、ちらりと櫻井さんを見ればじっとこちらを見ていた。
「終わった？」
「・・・はい」
「じゃあ、単刀直入に言わせてもらう」
私が頷くと、櫻井さんは背凭れに預けていた背を伸ばしてそう宣言した。
「なんでしょうか」
視線の強さに目を逸らしたい気持ちが湧き上がる。
だけど、ここで逸らしたりしたら、きっと負けだ。
眼鏡越し、私も櫻井さんの目を睨み付けるように見つめた。
絶対に、認めたりしない。
「・・・っふ(笑) すっげえ目(笑)」
「は？」
「そんなに睨まないで欲しいんですけど？」
まるで揶揄するように笑いながら言う言葉に怒りが湧いてくる。
訊きたいならさっさと訊いてきなさいよ。
「これが普通です。おかしくも無いのに笑えないですし」
「なんでそんなに刺々しいの」
自分でもムスッとしてるなと感じる声で淡々と伝えると櫻井さんは苦笑して、「まいったな・・」と呟き後頭部を掻いた。
「・・・お話って、なんですか」
他の女子なら瞬殺だろうそんな仕草も私には何の効果も無い。
きゅん(ハート)の『き』の字も湧いて来ない。
そんな私に櫻井さんは「はー・・っ」と大きな溜め息を吐いた。
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とも(プロフ) - こんにちは。赤い眼の真相？とっても気になります。ってか続きがめちゃくちゃ読みたいです( ^_^ ;) (2020年1月25日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みやさん» みやさん、こんにちは。大変お待たせしましたm(__)mたったの１話ですが更新いたしました。この後はもう少し更新頻度は上がるかも。お時間ある時にお付き合いいただけたら嬉しいです(^^) (2018年5月12日 13時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 待ってます (2018年4月14日 10時) (レス) id: 31283dda21 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みぃこさん» みぃこさん、こんばんは(^^)先程、すくない話数ですが更新してきました！もう少しコンスタントに進めるのが理想なんですけど、なかなか時間が取れません（T_T） (2018年2月26日 23時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - おはようございます☆これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年2月14日 9時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青藍
作成日時：2018年1月10日 23時
