永遠と生贄 ページ7
「ねえ、ホッケー。オカマさんどこ行ったの？見つからないんだけど」
2Aの教室、何かに取り憑かれたような足どりで明星は俺の席に来た。
暗い目。歪んだ顔。いつもより数段低い声は、呪詛のようにも聞こえる。
この状態のこいつを見て、誰がアイドルだなんて信じるだろう。
「もうやめておけ」
「やめるって何を？」
「鳴上を見つけたところでどうすると言うんだ」
「どうするって、尋問するよ」
そう言う顔はいつものように笑みを浮かべていたが、目に光はなかった。
その不気味な表情に、俺は顔を背ける。
「本当に付き合ってるのか、抱いた意図は何か・・とか、聞きたいことはいっぱいあるんだ」
変態仮面のような大仰な動きで机の周りをうろつきながら続ける。
「抜け駆け厳禁。裏切り者には罰を与えなきゃ。ホッケーだって分かるでしょ？だってあんずは、俺たちと永遠に――」
「まだ言っているのか、明星。たとえ全校生徒が望んだとしても、永遠などありえない。彼女は」
「あれぇ、ホッケーは聞いてないんだね？」
明星が動きを止め、俺の顔を至近距離からのぞき込む。
「・・ッ」
「まあ俺も盗み聞きしたんだけどね。いい？ホッケー。この世界は等価交換だ。何かを成したければ何かを差し出さなきゃいけない」
「何を・・・」
「生贄だよ。あんずを、俺たちと同じ箱に閉じ込めるための」
「そんなことがあっていいと思っているのか」
思わず声が震えてしまう。
「それは俺の知ったことじゃないけど。前々から、会長や朔間さんは生贄を欲していた。そこにちょうど良く、あの子が現れた」
「・・・なんてことを」
今回の異常なまでの騒ぎは、その目的もあったからなのか。
あの皇帝や魔王が望むことなのであれば、あの子はもう捕まっているのかもしれない。
「ホッケーは反対なの？あんずと永遠に一緒にいたいって思わないの」
「思わない。彼女をここに縛り付ける権利など俺たちにはない。無論、あの子の命を弄ぶ権利もだ」
「とことん真面目ちゃんなんだから・・信じらんない。縛り付けるってもね、どうせ本人は気づかないんだよ」
「気づかなければいいという話ではないだろう！」
だんっ、と机を叩いて立ち上がる。
ああ、どうして。
どうしてこうなってしまったんだ。
前は誰も、ここまで頭が狂ってはいなかった。
――すべては、あんずが現れてから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 934人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クラゲ(プロフ) - めっちゃ面白いです！続き楽しみにしてます！ (2022年4月10日 15時) (
レス) @page17 id: 3ba0a6e972 (このIDを非表示/違反報告)
アリサ - 続き楽しみに待ってます (2021年8月29日 19時) (レス) id: 2149cb42f2 (このIDを非表示/違反報告)
小林(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます〜！ですです！偶然にもどっちもswitchでしたね今気づきました( ) いつになるか分かりませんが気長にお待ちいただければ幸いです〜〜 (2020年5月1日 18時) (レス) id: 7024b5686c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 夢主ちゃんはつむぎに、あんずちゃんは夏目にってことですね...？学園内で何が怒ってるんでしょう(；−ω−)続き待ってます (2020年4月26日 14時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
小林(プロフ) - 碧月蒼さん» うわ〜〜〜んありがとうございます……正直このまま放置って考えてたんですけどそうやって言ってくれる方がいる限りできませんね……が 頑張ります… (2020年4月1日 18時) (レス) id: 7024b5686c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
