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佐賀美先生は「ちょっと急用で外出るから、蒼よろしく〜」と出ていき、保健室には俺と花城先輩のふたりだけになった。
「ちょっと冷たいけど我慢してね」
高峯
「っ…ありがとう、ございます」
ベッドに横たわる俺に先輩が丁寧に冷えピタを貼ってくれた。
「高峯くん、りんご食べれる？」
高峯
「ああ、はい。食べれますよ」
「お、よかった〜！さっき冷蔵庫覗いたらりんごがあってね、今用意してくるから待ってて」
立ち上がるとふわっと先輩の香りがした。
少し甘い花の香りで俺が好きな匂い。
5分ほど経つと、小皿を持った先輩が隣に帰ってきた。
「お待たせしました！どうぞ♪」
高峯
「わっ…うさぎだ！かわいい…って言うかあの短時間でこのクオリティって、先輩は器用なんですね」
「うんん、全然そんなことないよ！弟たちがりんご大好きで、よくやってあげるんだ♪」
高峯
「へえ、弟さんもいるんですね…」
「さ、食べて食べてっ。先生戻ってきたら食べられちゃうよ！」
可愛いうさぎさんりんごを食べるのはとても気が引けるが、せっかく先輩が用意してくれたものを食べない方が気が引ける。
「いただきます」と一口頬張った。
高峯
「ん、おいしい…」
「高峯くんって、すごく幸せそうに食べるね」
高峯
「えっ、そうですかね…？」
「うん、見ていて癒される！」
高峯
「俺も、先輩を見てるだけで癒されます…」
やべ、つい本音が出ちゃった…
隣の先輩をチラッと横目で見ると、少し照れている様子だった。その表情がまた可愛らしくてドッドッドッと心臓の音が加速する。
「そんな風に言われて嬉しいな…ありがとう！」
にこっと笑う先輩が目から離れなくて
俺もつられて一緒に笑った。
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作者名：あねもね | 作成日時：2021年1月19日 19時
