退屈な日々に【9K】

嫉妬という概念ーizwー ページ10

｢……拓司を嫉妬させてみたい。｣

｢なんですか、藪から棒に。｣


私がぼそっと呟くと、隣にいたこうちゃんが呆れた顔をする。

いやまぁ、だってねぇ……。


｢拓司って恋愛において嫉妬という概念を持ち合わせてなさそう。｣

｢……否定はできませんけど。｣

｢じゃあ実験！付き合って！｣

｢えぇー？やですよ、俺だって忙しいんです。｣

｢もし嫉妬されなかったら今度ご飯奢るから!!｣


その後も渋るこうちゃんにどうにか頼み込んで実験が成功しても失敗してもご飯を奢ることで了承してくれた。




ということで、早速実験開始！


実験その1！｢距離近くない？｣


｢ねぇこうちゃん、ここなんだけどさ。｣

｢え？どこですか？｣


私は自分のノートパソコンを持っていってこうちゃんと肩をくっつける。

暫くそのまま話してみたけど、拓司の反応はなし。





実験その2！｢何話してるの？｣


こうちゃんがキッチンで休憩してるところにひょこひょこと近寄って耳打ちする。


｢今度ルービックキューブとクイズを使った企画をしようと思ってるんだけど、どう思う？｣

｢まぁ、いいんじゃないですか？俺は面白そうだと思いますけど。｣


これまた拓司の反応はなし。

福良さんに怒られそうだったのでその前に休憩は終わった。






実験その3！｢そんなに仲良かったっけ？｣


｢こうちゃん！仕事終わったらご飯行こうよ!!｣


こうちゃんの顔をのぞき込むようにして声をかけると、ちょっとびっくりしたというか、呆れた表情になった。


｢え、2人でですか？｣

｢だめ、かな？｣

｢……はぁ、いいですよ。｣

｢さすがこうちゃん！ふふふ、楽しみにしてるね。｣

｢俺も楽しみにしてます。｣


拓司は……やっぱり無反応。

それどころか、福良さんと何かを楽しそうに話している。





｢……実験失敗にかんぱーい！｣

｢かんぱーい。｣


残念ながら実験には失敗してしまったが、こうちゃんにはご飯を奢る約束だったからね。


｢実験失敗っていうか、実験の結果伊沢さんに恋愛の嫉妬心が無かったってことなんじゃないんですか？｣

｢いやー、流石にそんな事ないってこうちゃんも分かってるんでしょ？｣

｢それは、まぁ……。｣


こうちゃんとご飯行ってくるから晩ご飯は適当に食べて、と伝えた時も軽く返事をされただけだった。

悔しいくらいに失敗してしまった。屈葬。

実験には失敗したけど、ご飯は美味しくて、2人で美味しいね、なんて言って笑いあった｡

＿＿＿＿→←失敗は成功のもとーymmtー

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