退屈な日々に【9K】

赤い糸ー？？？ー ページ43

最後の、僅かな荷物を持って部屋を出る。

ちゃんと2人で話し合って決めたことなのに貴方は泣きそうな顔でこっちを見る。


｢じゃあ、ばいばい。｣


だからこそ、私は笑顔で手を振った。

貴方は無理矢理口角をあげて、今までで1番ぶさいくな顔で笑った。

そっと玄関を閉めて、ゆっくりと深呼吸して、背中を向けた。




貴方はいつだって来週と来世の約束はしてくれるのに、来年の約束はしてくれなかった。

だから本当は、薄々気づいてたんだ。

この関係はずっとは続かない、って。

不器用な優しさを持つ貴方は赤い糸が切れないだろうから、私が切った。

でもその前にちゃんと2人で話し合った。

それで出した結論が、別れだったんだ。




あれから数年。

貴方は、ちゃんと新しい赤い糸を見つけられたかな？

今度は来年も、その先も約束できるような人に。

心から貴方を愛してる……私みたいな。

ざぁっと風が吹いて木々を揺らし、葉を散らす。

それを追うように視線を動かすと、私と同じように目を見開く一人の男性。


良かった。元気そうだね。


そう言う代わりに笑いかける。

その男性は、いつかと変わらない、ぶさいくな笑顔を浮かべていた。

結ばれる悲劇ーfkrー→←＿＿＿＿

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