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なにがありなのだ、ということはこちらが聞きたい。

なんだそれ。

しかし彼には強く衝撃を与えたようで、驚きで固まっていた。


「……。」

「……。」


沈黙が続く。

私は諦めて傘から出ようとした。

その瞬間、腕を強く引っ張られて、彼の胸に引き寄せられた。

傘を持っているので片手だが、しっかりと力強く抱きしめられて私は思わず反発する。


「いやっ、離して!拓哉が濡れるじゃん!」

「そんなのどうだっていい!!……俺は、Aを失うくらいなら濡れることなんてどうって事ない。」


そう言われて、私は抵抗を辞めた。

彼は尚もぎゅっと抱きしめる。

私は、恐る恐る彼を抱き締め返した。

その時、拓哉のほっとした感じが伝わってくると同時に、拓哉の心音が聞こえてきた。


「っふふ、拓哉、緊張してるの?」


ドクドクと少し早い鼓動に笑みをこぼす。


「そうだよ。Aがこれだけ近くにいて緊張しないわけないでしょ。」


からかったつもりだったのに、あっさりと認められ、むしろこちらが赤面してしまう。


「ね、A。帰ろうよ。このままじゃAが風邪ひく。」


私は頷くけど、素直じゃないなと思う言葉が口をつく。


「大丈夫だよ。馬鹿は風邪ひかないって言うからさ。」

「ふふ、何それ。Aは自分が馬鹿だと思ってるの?俺より頭いいのに。」


確かに、事実として言えば私は彼より成績はいい。

それが頭いいとは限らないが。


「そんなことないよ。拓哉の前では冷静な判断が出来なくてつい馬鹿みたいな行動しちゃうもん。」


だからこうやって今回も飛び出して来てしまった訳だし。


「それは俺が好きだから?」


私の顔を覗き込んでニヤニヤ笑う彼。

私は顔を逸らして言った。


「そうだよ……、」


小さな声でボソッと言った言葉だが、彼には届いたようで満足そうに笑った。

その後、風邪をひいた私が拓哉に甲斐甲斐しくお世話されたのは別のお話。

赤い糸ー???ー→←天使と悪魔ーkwmrー



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設定タグ:QuizKnock , QK , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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辰海恋歌(プロフ) - あすさん» 早速読んでいただきありがとうございます。この後どうなるかも一応考えてはいますが、次回の短編集のテーマとは少し合わないと思うのですぐに公開、という訳ではありませんが、必ずあす様の目に留まる形に致しますのでしばらくお待ちください。よろしくお願いします。 (2021年11月5日 0時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 辰海恋歌さん» 早速続き拝見しました!fkrさんが詰め寄る感じいいですね!続編?半年後fkrさんとどうなっているのか気になります! (2021年11月4日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» こんばんは!そういって頂けてとても嬉しいです!最後まで気に入って頂けますと幸いです。 (2021年11月4日 20時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - こんばんは!結ばれる悲劇、終わらない悲劇を読んで切なくもありますがとても気に入りました!続きが気になります… (2021年11月3日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» いえいえ!気に入っていただけて良かったです!! (2021年7月17日 23時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年5月19日 16時

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