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車デートーymmtー ページ28

恋愛なんて、する気なかった。

QuizKnockで働いて、クイズや謎解き作って、記事書いて、テレビに出演して。

そういう日々がずっと続いてくれると思ってた、のに。


気を抜くと浮かんでくるのは彼女の笑顔。

想いを伝えたところでどうしようもないことを理解して尚、気になってしょうがないんだ。


「Aさん。」

「はい?」

「今夜、空いてますか?」

「空いてますよ。」

「ご飯、行きませんか?」

「もちろん!」


煩い鼓動の音を閉じ込めてご飯に誘うと、彼女は嬉しそうに笑った。

こうしてご飯や謎解きに誘うと、彼女は嬉しそうに笑ってくれる。

……でも、分かってるんだ。

誘うのはいつも僕からで、彼女から何かアクションを起こしたことはない。

だから、彼女にその気は無い。


その日も、ご飯に行って、楽しく喋った。

帰り道、駅までの道を並んで歩く。


「……山本、さん。」

「はい?」

「その、今度の土曜って空いてますか……?」


彼女からの、初めてのお誘い。

心臓が爆発したんじゃって錯覚してしまいそうなくらい高鳴った。

すぐに予定を確認して、午後からなら空いてることを伝える。


「じゃあ、お昼すぎから、一緒に出かけませんか?その、私、車運転するので。」


車で出かけるなんて、初めてだ。

その事にもまた、心臓が煩くなる。


「わ、分かった。えっと、場所とかは……。」

「迎えに行くので、午前中の予定終わったら教えてください。」

「はい。えっと、じゃあ、気をつけて帰ってね。」

「はい、山本さんも。じゃあ、また。」


手を振りあって別れる。


土曜日……デートってことで、いいん、だよね?


僕は、嬉しくなるのをどうしても止められなかった。



迎えた土曜日、連絡すると1分くらいで返事が返ってきた。

すぐに迎えに行く、と。

連絡の通り、すぐにネイビーの軽自動車がすぐ側に来た。


「山本さん、お待たせしました。」

「Aさん、お迎えありがとう。」


助手席に乗り込んで、シートベルトをする。

チラ、と横を見ると彼女はまっすぐ前を向いていた。

車が発進してから、ようやく僕は口を開いた。


「そう言えば、今日ってどこ行くの?」


車で出かける、とは聞いていたけど、目的地は聞いていなかった。


「山本さん、動物は好きですか?」

「え?あぁ、まぁ。」

「じゃあきっと、楽しいところですよ!」


ふふふ、と笑うAさんに、やっぱり心臓が煩くなるのだった。

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設定タグ:QuizKnock , QK , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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辰海恋歌(プロフ) - あすさん» 早速読んでいただきありがとうございます。この後どうなるかも一応考えてはいますが、次回の短編集のテーマとは少し合わないと思うのですぐに公開、という訳ではありませんが、必ずあす様の目に留まる形に致しますのでしばらくお待ちください。よろしくお願いします。 (2021年11月5日 0時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 辰海恋歌さん» 早速続き拝見しました!fkrさんが詰め寄る感じいいですね!続編?半年後fkrさんとどうなっているのか気になります! (2021年11月4日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» こんばんは!そういって頂けてとても嬉しいです!最後まで気に入って頂けますと幸いです。 (2021年11月4日 20時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - こんばんは!結ばれる悲劇、終わらない悲劇を読んで切なくもありますがとても気に入りました!続きが気になります… (2021年11月3日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» いえいえ!気に入っていただけて良かったです!! (2021年7月17日 23時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年5月19日 16時

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