43 時期尚早の特別 ページ43
「え、サッカー部みんなでですか?」
「そう！毎年恒例のお祭り！行くよ！」
「この祭りの夜店、結構多くて人気なんだよ」
例の如くマネージャーの皆でお昼ご飯を食べていると、先輩達は楽しそうにそのお祭りのことを教えてくれた。一年のマネ仲間二人もその知っているほどそのお祭りはこの辺りでは有名らしく、夏祭りというにはまだ早いこのお祭りのことが俄然楽しみになった。どうやらそれが次の試合の決起会にもなっているそうで、用事が無い限り参加が基本らしい。
「部長さんも来るんですか？」
「来ると思うよ。副部長が無理やりでも連れてくるでしょ」
そうなんですか、とパックの野菜ジュースに口を付ける。あまり人の多い所は好きではなさそうではあるけれど、副部長さんのあの性格はまず放っておかないだろうなとなんとなく腑に落ちた。
「先輩方、浴衣着はるんですか？」
「着ないよ〜。やっぱり、浴衣着てくのは彼氏の前でしょ...！」
「あ〜確かに。現れるとええですね」
「お！言うねぇ......。うう......どこにおるんやろ......」
一年マネ仲間の青みがかったショートカットの方、通称カエデは先輩にも物怖じしないかっこいい女の子である。サッカー経験者でもあり、プレー的な部分の知識でも彼女に助けられたことは多い。そして、もう一人のマネ仲間がユキ。
「Aちゃんは、彼氏いるの〜？」
「え、いないよ」
「そっか〜。……浴衣姿見たいなぁ」
センター分けにされた黒い前髪から覗く瞳は、未だに何を考えているのかよく分からない 不思議な子だ。以前彼女らにコネシマ先輩と付き合っているのかと、確信じみた声で聞かれたことがある。二人には今、どう思われているのだろう。ユキはにこにこと此方を見つめて いる。......恐ろしい。
「とにかく！明後日の夜！神社集合で」
この地に来てから初めてその地域性に触れることができる喜び。明後日が断然楽しみになり、今から何を着ていこうかと悩む。勿論、部活を疎かにすることは絶対に無いけれど。それはここにいるマネージャー仲間皆が心している事だった。本当にいい仲間に巡り合うことができて良かったと思う。
『......俺も、引退したくないわ』
ふとこの前の先輩の声が蘇る。前よりも、その言葉の重みが分かった気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
