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テスト最終日、一番最後の科目である化学を終え、達成感と開放感から机に突っ伏す。ああ疲れた、なんでこんなに難しいの、なんて自分だけに聞こえるよう声で毒を吐いていると、そんな私を気にもせずゆさゆさと肩が揺さぶられた。
青い顔を上げれば、好奇心に満ちた瞳を此方に向ける女の子が二人。唐突に明るくなって霞んだ視界のままよく見れば、それはマネの仲間二人だった。
「なあなあ、部長さんと付き合ってんのー？」
「そこんとこどうなの〜？」
年相応のキラキラとした目に、は、なんて喉に張り付いたような声が口をつく。堤防からの帰り道、恐らく見られていたのだろう。
いやいや、付き合っている訳がないでしょ。
なに、それは、……そんなの恐れ多い。
「ないない……ありえないよ。確かに尊敬はしてるけど」
絶対に余計な事を口にするわけにはいかないと、意識して無表情を貫く。あの首になった二年生の話を知っている分、貴方も同じなのかと認識されたくなかった。それくらい、入部を共にしてくれた二人は好きだし、これからも末永く付き合っていきたい。
要するに良い人達なのだ。
だから話せば恐らく、彼女達は真面目に話を聞いてくれるだろう。それでも恋心を明かさなかったのは、もしかしたら心の何処かでこの恋情を認めたくないと思っていたのかもしれない。
そうなのかと少し残念そうに眉尻を下げた二人に申し訳なさが胸に広がる。まだこの気持ちを誰かに打ち明けるのは早い──そう自分に言い聞かせ、部活のジャージに着替えようと立ち上がる。いつでも待ってるからね、と微かに聞こえた声には聞こえないふりをしてしまった。
＊＊＊
その日も彼は痛みが走るであろう腕を庇いながら練習に励んでいた。
リストバンドで滴る汗を拭うその姿も目が離せなくて、燃えるほどの夕焼けに目を細めながら盗み見る。淡々と土の上を走る影の速度が変わる事は無く、あたりが暗くなっていけばいくほどそれは消えるように黒に溶けていく。
声をかけるのも憚られるその姿は、心からかっこいいと思えた。
たった二歳しか変わらないのに、ここまで真剣に、ストイックに、自分に厳しくなれるものなのか。
自分が分からない。
この尊敬の念を、恋などという安っぽい言葉で片づけていいものなのだろうか。
今の自分には分からなかった。
夕日に息をつくその大きな背中が、やけに脳裏に焼き付いて離れなかった。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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