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退屈な入学式を半分眠りながら終えて、ぞろぞろと教室に戻る。
そして、恒例の自己紹介の時間。
何を言おうかなと考えつつ耳を傾けていると、一応体裁的には丁寧語だが、見事に大半が関西弁のイントネーションで話している。今迄縁もゆかりも無かったここ、大阪の地に引っ越してきたいうことを、やっと実感した気がした。
全ての行程が終わり、解散になったが未だ騒がしい教室。
「あの、Aちゃんも他県から来たの？」
まだ誰とも話してないなと内心不安に苛まれていると、急に標準語で話しかけられて、思わず肩を揺らす。
そうだよ、と体を向ければ、安心したように息をついた女の子が一人。茶色がかったストレートの髪を一つに結び、ぱっちりとした瞳が特徴的な彼女も、どうやら違う県から大阪に引っ越してきたらしかった。
「よろしく、まいちゃん」
「Aちゃん、よろしくね〜」
教室に飛び交う賑やかな関西弁に若干気圧されていたが、偶然にも同じ境遇の仲間がいたことに、ほっと胸を撫で下ろした。
仲間がいるとはなんとも安心するもので、次の瞬間には部活何やるか決めてる？なんて口にしていた。
「弓道部だよ！中学もやってたから続けるつもり。Aちゃんは？」
「……まだ迷ってて。そっか、じゃあ午後からは弓道部の見学行くよね」
うん、と頷いた彼女から、ここの学校は弓道部が強いと聞く。そこで、ぼんやりと今朝の母との会話を思い出した。どうやら運動部全般が強くて盛んらしく、初心者が新たに始められるものも無さそうだと深く溜息をついた。
「とりあえず沢山部活紹介の紙貰ったから、それ見ながら色々回ってみたら？」
ペラペラと紙の束を捲るまいちゃん。たまたま一番上の紙には、馴染みのある楽器達の絵が並んでいた。中学の時は吹奏楽部。しかし、高校では何か新しいことを始めたかった。新しく熱中できるものが欲しかった。
仕方ない、学校を歩き回ってみるかとパックのジュースを飲み終え、綺麗に畳んでゴミ箱に放り込んだ。
「じゃあまいちゃん、また明日」
「うん！……あ、LINE交換しよ」
「忘れてた」
ピコンと可愛らしい音がして、無事に登録完了。スマホに映し出されたのは可愛らしい犬のアイコンだった。
「弓道部、頑張ってね！」
「ありがとう！」
そう言って教室を出て行ったまいちゃん。女の子らしくて明るい子だ。
「さて、私も行くか」
重い腰を上げ、新しい何かを探しに一歩踏み出した。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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