春に君を想う【3】(Yuri.C)

November.報告 ページ7

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有岡side.


「うえぇっ？！今なんて？！」


右手に持っていた紙パックのいちごオレがピューっと飛び出して、知念に汚いよと注意される。
いやいや、ちょっと待て。
これが冷静でいられるかよ！

ついさっき山田に呼び出された俺と知念は
構内のフリースペースで横並びで座っていた。

山田から話なんて珍しいな、なんて思ってた矢先…これだよ。



Aちゃんと付き合うことになった、って
…は？意味わかんないんだけど。

俺自身はもうはっきりキッパリと振られてるから別にさ…いいんだよ。
まぁ、まだ完全には吹っ切れてないけど、今はもうちゃんと諦めてるし。


それより… Aちゃんって
知念のこと好きじゃなかったっけ？！
え？何がどーなっちゃってんの？！


山田は俺の動揺っぷりに笑っている。

「大ちゃん驚きすぎ。」


「そりゃ驚くって！え？いつ？いつからお前、Aちゃんのこと好きだったの？」


「いつって…んー、告白したのは学祭の時かな。」


「そ、そうなんだ…。」


いつの間に。

てかさ、知念はいいの？なんだかんだ俺から見ても、知念はAちゃんのこと好きなんだと思ってたけど…。

チラッと知念の顔を見ると、複雑そうな表情をしていたけどパッと笑顔に切り替わり


「涼介おめでとう、彼女出来たの久しぶりじゃない？」


なんて祝福モード。

まじかよ。いや、別に皆がそれでいいんなら…何も言わないけどさ。


「知念、ありがと。そうだね… Aちゃんのことは一生離さないつもり。」


「そっか。…幸せそうで良かった。ね、大貴？」


「お、おう！びっくりしたけど…おめでとう。」


「うん、大ちゃんもありがとう。じゃあ俺、これからAちゃんと帰る約束してるから。」




そう言って帰ってった山田の後ろ姿を見送りながら
知念をジトーっと見つめる。


「…なに、大貴。なんか不満でもあるの？」


「いや別に。知念は本当にそれでいいのかなぁって、思っただけ。」


「何が？…僕には何も言う権利なんてないんだよ。」

って少し寂しそうに言うもんだから
知念も何かあったのかもしれない…。




「そっか。…じゃあ二人で失恋パーティーでもやっとく？！」

「それ大貴だけだから。」

「うぉっ！ひでー！付き合ってよ知念〜。」


知念は嫌がりながらも、一緒にファミレスに行って俺の爆食いに付き合ってくれた。

3人の間になにがあったのか俺には分からないけど、納得して決めたんなら俺が口を挟むことじゃないよな。

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