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「は、やかった…」
「一応安全運転だ。」
ものの2分くらいで部屋の前についた私。
フィジカルギフテッド恐ろしい…
「ありがとうございました…」
「ああ。」
「………ん?」
「ん?」
扉の前から動こうとしないパパ黒を不審に思い、声をかける。
「あの、帰らないんですか?」
「…オマエ、ここから動けんのか?」
「あ」
訝しげに言うパパ黒。そういえば私はパパ黒の背中の上だった。プラス右足にも穴空いてるし。すみません、すみませんと言いながら鍵を渡して、扉を開けてもらう。
「ふーん。まあまあ綺麗なとこ住んでんな」
「あ、はい。……まって猫!」
「は?猫?」
「いや猫飼ってるんですけど、大丈夫かな…」
この話を聞いたように、リビングの扉を開けてこちらにスタスタと歩いてきた猫。名前はまだない。
「あ、猫くん。ただいま。」
「コイツ、名前猫っていうのか」
「はい。可愛いでしょ」
「あー、まあな」
思ってなさそう。灯りをつけて、リビングのソファに座らせてもらう。
「あたた…ありがとうございました。」
「ああ。そういえば包帯とかってあるか」
「え、包帯?あ、もしかして手当してくれるんですか?」
「ああ」
「え、ありがとうございます!」
「……ぁぁ。」
声が少し小さくなり、目線を逸らしたパパ黒。ああ。まだ家出たばっかなんだな。だから初心なんだきっと。かわいいな。
「えっと…多分玄関のクローゼットに入っているかと…」
朝この部屋を物色したら、玄関のクローゼットに色々入っていた。パパ黒がクローゼットに向かってしばらく経つと「お、あった」と、声が聞こえてきた。
こちらに床を少しきしませながら歩いてくるパパ黒。何してもイケメンは絵になるなぁ…ジンジンと痛む右足を見せると、そこは肉が見えて、血がドロドロ出ている
「う、わ…」
やだ思ったより重症。私が青ざめているところに、パパ黒は跪く。
「っ、うぇ?」
「動くな」
「は、はい…」
「思ったよりひでぇな」
絶対ひどいとか思っていなさそうな無表情のパパ黒は、私の足をテキパキ処置する。後光が差してるわ。
「わ、随分慣れてるんですね」
「………あぁ」
なんで少し間を置いて話したんだろ。
「……あ」
「どうした」
私は原作に書いてあった「それは酷い扱いだった」という言葉が頭をよぎった。きっと、受けた傷を治してくれる人もおらず、自分で手当をするうちになれてしまったのだろう。なんて無神経な。
「…ごめんなさい」
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栗まんじゅう愛してる(プロフ) - お松さん» 見つけてくださってありがとうございます🥹🥹頑張ります🔥💪🏻 (11月25日 18時) (レス) id: ceba318f19 (このIDを非表示/違反報告)
お松 - 初めてこれ読むけど、すごい面白いです!更新頑張ってください!!😘 (11月25日 16時) (レス) @page26 id: f0ee455632 (このIDを非表示/違反報告)
栗まんじゅう愛してる(プロフ) - すんさん» 規模デカすぎて笑います…🤣更新頑張りますね!! (11月13日 19時) (レス) @page50 id: ceba318f19 (このIDを非表示/違反報告)
すん - 終始穏やかじゃなかったです心中。常に叫んでました。神作品をありがとうございます更新頑張ってください…!!数億年なら待てます (11月13日 18時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
栗まんじゅう愛してる(プロフ) - Yunaさん» ありがとうございます!やったー!更新頑張ります!! (9月21日 15時) (レス) id: 184391ef54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗まんじゅう愛してる | 作成日時:2021年3月9日 21時