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虚「A、、、起きましたか」
少し布団が動き問いかけてみる。
すると布団からちょこんと顔だけ出して
こちらを覗き込んだ。
A「、、、お早う」
その目は遠くを見つめていて
何処か虚無を感じた。
虚「さっきの話、聞いてました?」
A「、、、ぁ?
ああ、夢じゃなかったのか、、、」
夢だったら良かったのに、と呟く彼女。
この反応は聞いていたんでしょう。
松「A、、、」
Aの布団からはみ出た小さな手を松陽が握る。
するとAはびくりとして、松陽の手を振り払った。
A「、、、ぁ、う
ごめ、ん、、、」
自分でもよく分かっていないようで
虚「大丈夫ですよ、A
貴方はずっと私たちと一緒にいたじゃないですか
貴方な訳が、、、」
と、声をかけ再びAの手を握った。
A「本当か、?
それは本当に私か?
可笑しい、、、
この体になってから五月蝿かったあの2人の声が少しも聞こえないんだ」
2人、とは。
1人は陽愛を失った際怒り狂ったAの中の人格。
もう1人はそれを止めるように私に頼んだ人格。
どちらも厄介といえば厄介だった。
しかし、、、
A「今は現実か?
夢から覚めたのか?
どこまでが夢だ、どこで間違えた、、、?
本当に私はAか?」
眼球までがふるふると震えていた。
松「A、貴方は貴方です
大丈夫ですよ」
松陽が慰めるように笑顔を向けるがAの顔は恐怖で歪んだまま。
A「、、、今はAか?
なら昨日は、一昨日は?
本当に私だったか?
【私】の記憶なのか?」
つまり
Aの中の人格が頻繁に入れ替わっていると?
そう考えてもおかしくは無いが
やはり精神が不安定すぎる。
しかしまだそう断定した訳じゃない。
虚「A
前のことなんて分かりませんが
今は確かに貴方ですよ」
ぎゅ、と抱き寄せる。
すると少し安心したようで深呼吸をした。
松「、、、どちらにしても
ちゃんと調べる必要がありそうですね」
その言葉に癪ながら同意し
Aを強く抱き締めた。
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作者名:ありやけさん | 作成日時:2021年1月20日 23時