私の彼の事② (ページ6)

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「「……」」

微かに漏れ聞こえてくる呼び出し音に、
顔をしかめる彼。

「出ぇへん」

「お仕事中やない？」

「んー…」

「なぁ、」

「しっ！」

突如私に向かって、
人差し指を口元に当てて静かにしろと促される。

「もしもし？リリー？お疲れ」

"なぁ、あれどういうこと？"
"何で俺も誘ってくれへんかったん"
"それもそれやけどこの前〇〇さんとも行ってたやろ"
"そういえば〇〇さんとも連絡先交換した言うてなかった？"

出てくる出てくるリリ君のプライベート情報。

最早怖いで。
ほんでどんだけリリ君の事好きやねん。
私に対する愛より重いんちゃうか。

「え？A？おるよ。ちょっと待ってな」

その瞬間スピーカー通話になって、
スマホから聞こえてくるリリ君の声。

『Aちゃん？』

「リリ君久しぶり〜」

『Aちゃん今度ご飯行こうよ。濱家さん抜きで』

「いいよ〜」

「おい。何をお前堂々とナンパしてんねん。Aも"いいよ"ちゃうねん」

『え、ちょっとスピーカーやめてくださいよ』

「なんでやねん」

『後Aちゃん。濱家さんに束縛やめてくださいって言っといて』

「ははっ！分かった言うとく！」

「束縛なんかしてへんわ」

『ﾌﾝｯ、Aちゃんにも久々に会いたいし、ほんまにご飯行きましょう。濱家さんも一緒でいいですよ』

「そらそうやろ。そこに俺がおらん選択肢なんかないねん」

「あっ、リリ君、今度ウチおいでよ。3人で飲もう？可能やったら泊まってってもいいし」

「そうしよそうしよ。家やったら気兼ねせんでええし俺何か作るし」

『まじすか。楽しみにしときます』

「うん。まぁじゃあ仕事頑張ってな。また明日」

『はーい。ありがとうございます。Aちゃんもまたねー』

「またね〜」

「いつにしようかなぁ。来週とかどう？」

はや。
通話が終わってから秒。
疾風の如く予定を組もうとする彼。

どんだけ会いたいねん。

「私はいつでもいいよ。てかさっき"また明日"って言うてへんかった？」

「うん。明日リリーと仕事一緒やから」

明日会うんだぁ。

ツッコミ所満載やけど、
一生懸命予定を組もうとしてる彼を見て、
なんだかほっこりしてしまった私は末期やと思う。

そして後に、
このエピソードはリリ君によってテレビで披露されるのだ。