私の彼の事② (ページ24)

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月に願いをページ24

少しオシャンティ風な透明パックの中に、
真っ白で小ぶりのまんまるなお団子が大体６個位積み重なっている。

そのお団子に纏う輝く飴色のタレ。

仕事帰りにスーパーで買ってきたお月見団子は、
素晴らしいクオリティで、
これでもかと言わんばかりに光輝いていた。

冷蔵庫から缶ビールを適当に数本取ってベランダに出るとスーっと夜風が私の体を包んだ。

ベランダの柵にハンギングテーブルを設置して、
あっという間にお月見セットは完成した。

一人で月見ながら団子食べてビール飲んで？
最高やん。

黄金のタレを纏ったお団子を口に放り込んで月を眺める。

最高な仕事終わりなんやけどやっぱり足りひん。

彼が足りひん。

ふと思う。
私は彼がおらんなったらどうなるんやろう。

確かに一人の時間も慣れた部分はあるし、
一人でウダウダする時間も楽しかったりする。

天地が引っくり返って、
この先彼が私の元を離れてったとして、
一人になった時、
私はどうなるんやろう。

例えば月星人の話をしたとして、
ノッてくれるのは恐らく彼だけやし、

一人でお月見堪能してるって知ったら、
"ひとりだけズルい"って拗ねるのも彼だけ。

そもそもベランダなんかでお酒飲んでるの見つかったら"危ないやろ！！"って怒られそうやな。

そんな彼は今日、
定期的にやってくる泊まりのお仕事で帰ってこない。

そしてこんな時に限って連絡もない。

いっつも仕事の合間でもしょうもない事で連絡してくるくせに。

バカヤロー。

なんて理不尽にキレてみる。

神様仏様お月様。
何だか今、
もの凄く彼に会いたいのです。

凄く凄く会いたいのです。

別に何があったとかやなくて、
単純にものすごーく彼に会いたいのです。

胸の前で手を重ねて目を瞑り、
そんな事を祈ってしまっている私は、
もう既に酔っ払っているみたいだ。

ゆっくりと目を開けて、
気付いたら一個しか残ってないお団子を口に入れる。

思惑おセンチになってしまったお月見も、
早々に終わりかー、、

残っているビールを流し込んだら、
空の缶をハンギングテーブルにコトンと置いて、
ベランダの柵に身を預けてひと息ついた。