私の彼の事② (ページ20)

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というわけで今現在。
花火パーティに向けて、
デパートで浴衣を物色中。

ほぼ即決だった私を、
まるで店員さんの様に鏡の前まで連れていき、
見本として並べられている浴衣を私の体にあてがう彼。

「んー…、Aはこっちの方が似合うと思うねんけど」

「そうかな？…コレ派手やない？」

「ううん。色いっぱいあって可愛いやん」

「そう？」

「あ、でもちょっと待って、コレも合わせてみて」

すると今度は180度違う至ってシックな浴衣を持ってきた。

そして恒例行事の様に迷宮入りする彼の脳内。

午後からのお仕事へのタイムリミットが迫る中、
結局彼が似合うと言ってくれた色鮮やかな浴衣を購入した。

「Aごめん。俺そのまま仕事行くけど、気ぃ付けて帰ってな」

「うん、ありがとう。濱くんも気を付けてね」

そして慌ただしくタクシーに乗り込む彼を見送って
私も帰宅した。

すぐさま浴衣をハンガーに掛け、
大量の花火達を眺めて思う。

濱くん、
今年の夏はいっぱいいっぱい楽しいことしようね。

なんて物思いに耽っていると、
ピコンッとスマホが鳴ったから、
画面を見てみると彼からのメッセージだった。

『帰り着いた？花火する時ロウソクあった方がいいかも』

『後、念の為蚊取り線香』

『お酒頼んだから明後日届く』

『後デザートにアイスも頼んだ』

夏の始まりはとてもワクワクする。
準備するのも楽しいし、
予定を組むのも楽しい。

それはもはや夏に限らずやけど。

そして気付く。
実は彼が1番テンションが上がっているという事に。