私の彼の事② (ページ2)

今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:31,329 hit

・ページ2

「え、……虫よけ？」

俗に言うティファニーブルーのギフトBOX。
恐る恐る白のリボンを解いていく。

蓋を開けると、
更にティファニーブルーのジュエリーBOX。

「悩み過ぎて4〜5回お店通った」

今度は恐る恐るジュエリーBOXの蓋をオープン。
パカッと開かれたその先には、
3粒の石が付いたゴールドのリングやった。

「え…、ほんまに？やば、手震えんねんけど、」

そう言うと、
BOXからリングをサッと取る彼。

「手出して」

「……はい、」

「あ、そっちやなくて」

ドラマとかで見る、
素敵なシーンを思い浮かべながら、
意を決して出した左手は、
あっさりフラレてしまった。

そうやな、
別にプロポーズとか、
そういう感じじゃないもんな。

そもそもなんやっけ。

そう。
ホワイトデーや。

婚約指輪でもない。
結婚指輪でもない。

何なら薬指用でもないかもしれない。

完全な見切り発車に、
顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなってしまった。

「………そっちはもっといいのんあげるから、もうちょっと待って」

そんな事を言いながら、
私の右手を取る。

「え？」

「コレは虫よけみたいなもんやから」

スルスルッとリングが薬指に吸い込まれていくその様子を、
ここぞとばかりに目に焼き付ける。

「虫……、もしかして男よけみたいな事？」

「……」

「俺のもんやでって事？」

「…」

「誰にも渡さへんでって事？」

「全部言わんでええねん」

「ｯﾌﾌﾌ、ありがとっ」

芸能人の婚約記者会見ばりに、
右手を自分の顔の横にかざす。

「どう？」

「うん」

うんって……。
まぁこの"うん"はポジティブな返事のはず。

私のシンプル手作りチョコに対してのお返しが目まぐるしすぎて何となく申し訳なくなってしまう。

貰うねんけどな。

後何か軽くプロポーズ的なんも貰った気がするけどそれはいつかくるその時まで待つ事にしよう。