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幻と現実 ページ18

ボロボロと溢れる涙



その理由は簡単で、銀八先生の記憶が色鮮やかになったから



知らない、思い出さないようにしてた記憶






幻だと思ってた方が現実で、



現実だと思ってた方が幻だった





そうだ、私、事故に遭ったんだ



それで夢を見ているんだ





何ヶ月も眠っていたにしてはクリアに現状を把握できている




そんな不思議さを気に留めている場合ではない










銀「え、俺何かした?!」



「や…何でもないです」








えっぐえっぐと気味の悪い嗚咽混じりになんとか応答だけはする



目を覚ましたら銀さんとの今までもこれからもがなくなってしまう




そんなの嫌だ




ああ、夢ならば醒めないでーー









銀「よしよし」









子どもをあやすように私の頭を優しく撫でてくれた





こんなとこまで先生と一緒なんて狡すぎるよ
 




銀さんの暖かさまでもが銀八先生のと一緒で、ビリビリ伝わって嫌になる



好きで好きで仕方ないこの温もり



手放すなんてできるはずもない




ずっとこのまま銀さんに流されていたい












目を覚ませば銀八先生に逢える



目を覚さなければ銀さんと一緒にいられる












こんなに贅沢で、こんなに残酷な選択肢



今の私には到底できっこない




でもいずれはしなければならない










選択するということ









それは私自身の











命の選択肢













生か死を











選択するとき











私が選ぶものは――














それでも今は銀さんを感じていたい




止まることを知らない涙を強引に拭い、心配そうな銀さんに抱きつき、銀さんの首元にチクリと赤い花を咲かせる














「銀さん」





銀「なんだよ」





「銀さんでいっぱいにして」





銀「どうなっても知らねぇからな」
 
 



「ん…ぁっ」
















これは私の我儘ですか?

写真→←薬指



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作者名:るう | 作成日時:2022年9月3日 22時

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