銀の幻【坂田銀時】２ (ページ13)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:12,094 hit

その辺ページ13

「お邪魔します…」

銀「荷物その辺テキトーに置いて」

久しぶりの万事屋への来訪がまさかのお泊りだなんて思ってもみなかった

お陰様でソワソワして落ち着かず、銀さんに言われるがままに「はい」と答えて軍隊みたいに行動してばかり

銀さんと出会ってから想像もしてなかったことが次々と起こって目が回りそうになる

お昼頃に銀さんのお誘いを受けてからバタバタと支度をして最低限の荷物を持って万事屋まで来て

あまり時間も経っていないのに、もう何時間も前に感じるのが不思議だ

というか、「その辺テキトー」とはどの辺のことなんだ

落ち着かないが故に一周回って哲学的なことを考え始めてしまう

「銀さん、あの、その辺とはどの辺ですか？」

銀「その辺はその辺だ」

「すみません、よくわかりません」

銀「おい機械口調になってんぞ
　
　じゃああの辺りで」

「もうゲシュタルト崩壊しそうです」

銀「お前が言い始めたことだろうがっ」

ものすごく中身の薄っぺらい会話を一通りすれば緊張も解れているのも銀さんが持つ能力の1つなのかもしれない

周りを観察する余裕も出てきて改めて銀さんをよく見ると、さっきから彼の特等席から自室を行ったり来たりしてる

自惚れかもしれないけど、万事屋に私がいることを意識しての行動だと思う

銀「自分ん家なのに落ち着きやしねぇ…」

窓の外を見るふりをして、ぼそりと呟いたその一言は

私の良すぎる聴力により拾われているなんてこと銀さんはきっと知らないし、

私の自惚れは真実へと形を変えた

どんどん坂田銀時という沼に片足どころか両足綺麗に揃えて嵌まっていく

そんな自分がたまに怖くなるけど、そんな不安をどこかへ蹴り飛ばしてくれるのもこの男しかいない

簡単に言えば、銀さんが好きで好きで堪らないってやつ

「ぎーんさん」

銀「おわっビックリした」

堪らず銀さんを背後から抱き締めることなんて無双状態の私には簡単なことで

もちろんその後のことは一切考えてなかった

「こうした後は何するのが普通ですか？」

銀「馬鹿か、実は馬鹿なんだろお前」