14_胸の内 ページ14
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少し話に付き合ってくれないか、と誘うとリドルくんは不思議そうな顔をしながらも頷いてくれた。館内でお喋りするわけにはいかないので、人気のないベンチに並んで腰掛ける。
学園での生活についてを問うと、借り出した本の一文を示してこの魔法が得意なんだとか、寮の新入生に落ち着きがなくて苦労が絶えないだとか…、そんなことを、コロコロと表情を変えながら話してくれた。そしてその口振りは、彼の真面目さや勤勉さが読み取れるものだった。
『リドルくんは頑張り屋さんなんだね』
「寮長たる者、努力するのは当然です。それに、偉大なるハートの女王にはまだ遠く及びません」
『ううん、すごいことだよ。誰にでも出来ることじゃないと思うな』
「……」
リドルくんは何かを考え込むように口を噤む。
『でも、リドルくんは立派な寮長さんだけど、1人の人間でしょう?息苦しく感じたりはしない?』
「…そんなこと、」
言葉が続かず、目を伏せたリドルくんがなんだか小さな子供のように見えて胸が締め付けられる。固く握られた手を包み込んだ。
『我慢しなくてもいいんだよ。もう少し、自由に…なってほしいし──』
してあげてほしい、とこぼせば、リドルくんは顔を上げる。その瞳は頼りなく揺れていた。
「貴女は、ボクのやり方が間違っていると言いたいんですか…?」
『そうじゃないよ、無理してほしくないの。このままだとリドルくんの方が…』
「──ルールは絶対だ。従っていれば間違いは起こらない。…ボクが正しいんです。」
彼は雁字搦めに縛り付けられている。
時間なので、と背を向けて歩き出す後ろ姿を、ただ見送ることしか出来なかった。
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麗(プロフ) - 続きを読める事を楽しみにしてます! (2021年1月6日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
安眠(プロフ) - 夜神(女です!)さん» ご丁寧にコメントしてくださってありがとうございます。大丈夫ですよ! (2020年11月3日 21時) (レス) id: fe927a247b (このIDを非表示/違反報告)
夜神(女です!)(プロフ) - 突然失礼します!ツイステの作品を描こうと思っているんですが安眠さんの「監督生のお姉さん」の設定を参考にさせていただいてもよろしいでしょうか!? (2020年11月3日 19時) (レス) id: 588c4c8811 (このIDを非表示/違反報告)
安眠(プロフ) - みいらさん» コメントありがとうございます。ご期待に添えるよう頑張ります! (2020年10月6日 22時) (レス) id: fe927a247b (このIDを非表示/違反報告)
安眠(プロフ) - 雪華さん» 私が知っているアニメということでしょうか…?!漫画はたまに読みますがアニメはあまり詳しくないです;すみません (2020年10月6日 22時) (レス) id: fe927a247b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:安眠 | 作成日時:2020年9月10日 1時