▼得体の知れない ページ15
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近頃、会議の際にやたらと名前を聞くようになった女が1人。
《櫻鏡園》にいる王族のお姫サンらしくて、何人かは実際に会ったことのある口振りだった。
あんな場所真っ平や、大先生じゃあるまいに。
あの大層高貴な女達の、媚びの混じった目も甘ったるい匂いも何もかもが苦手だ。
自分が庶民の出身である為、よりそう思うのかも知れない。
最初はオスマンやチーノが其奴を怪しんでいたから良かったが、グルッペンが興味を持ってしまったのが厄介だった。
この城に呼びでもして思い上がりをされては困ると、オレやシャオロンを筆頭に反対派もいたが、結局は総統様の一声でその女を城へ招き入れることが決まってしまった。
どうにもならないなら、自分の目で確認しよう。
オスマンがお姫サンをを連れ来た日、オレはグルッペンの許可を得て総統室のダクトへと身を潜めていた。
そこに現れたのは、えらく歳下の娘。
洗練された容姿に反して、その声は酷く震えていた。
「(この女が歴史書なんて読むんか…?)」
正直オレには全くこの女の素性がわからなかった。
部屋を出た後、中庭を歩く姿は普通そのもの。不意にエミさんが此方を向く。
なんとなくその視線の意図に気づいたから、態とらしく舌を出してその場を去った。
「で、どうやった?グルッペンとの対談は」
「どうもこうもないわ、グルッペンのいつものが始まってもうて女はほぼ喋っとらんかった」
「マジか…ほんま何しとんねんアイツは」
上から順にシャオロン、オレ、コネシマ。
コネシマも反対派の1人で、今日の対談(仮)には興味があったようだ。収穫は皆無だったわけだけど。
「ま、その女が少しでも下手な事したら殺せばええ」
「よっ!流石心無いシッマ!発想がちゃいますわぁ」
安定の煽り芸が始まった所でオレは、大嫌いなあの場所へと足を向けた。あの女が何を隠し持ってるのかを知るために。
光の差さない夜闇の中、オレは園内の建物の外壁に足をかけた。少し登ればダクトに繋がる管があるはず。
ガコッとやや大きな音を立ててしまったが、ここは外だし心配するほどでも無いやろ。
そうして辿り着いた件の女の部屋の上。こざっぱりしたそこで、大きく伸びをしている女の頭が見えた。
飾り気のない口調、素だとそんな話し方なんか。バルサ◯とは何の兵器だ?オレの気配を鼠や、虫が通ったと勘違いするとかアホや。
知れば知るほど理解出来ないお姫サンに、オレの心は疑いと好奇を抱いた。
ラッキーゲーム
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (4月30日 18時) (レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ! (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます!続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます!続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します! (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます!初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします! (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あん肝ポン酢丸 | 作成日時:2019年8月4日 8時