きらい。 ページ5
ロン・ウィーズリーって嫌なやつ。あの子、ハーマイオニーの悪口言ったのよ。みんな彼女が嫌いって。
それって違うわ、あたし、ハーマイオニーのこと大好きだもん。
「ねえ、大丈夫？」
返事は来ない。あたし、とっても困っちゃって、トイレのドアに寄りかかるの。なんて声をかければいいのかしら、女の子の友達なんていなかったから、どうしたらいいのかわからない。
ウィーズリーに酷いこと言われたハーマイオニーは、女子トイレに閉じこもっちゃったの。きっと泣いてるんだわ、放っておいた方がいいのかしら。でも、それも気がひけるわ。
だって一人になったらやっぱり悲しいでしょうし、泣いてるハーマイオニーを放っといて、あたし一人で楽しめるだなんて思わない。
「……」
どうすればいいのかしら。
どうしようもなくて、とりあえず爪をいじってみるの。どうしましょ、どうすればいいの。なんだかあの子の泣き声聞いて、あたしもネガティブになっちゃうわ。
「……」
その時、大きな音がしたのね。なんだか大きなものが、歩いてるみたいな音。あたし、何だか怖くって、でも、あたしの寮の獅子に倣って、そっちに行く決心をつけたの。
音を立てないように、ドアから顔を覗かせるわ。何もいない。ふー、とため息をこぼしたわ。きっと誰かのいたずらだったの。そうじゃなきゃ、怖いじゃない。
「ぁっ……」
でも、次の瞬間聞こえた音に、声が引っ込んじゃったの。これって地鳴りっていうのかしら。とにかく、そんな感じのやつ。
その後すぐに、向こうの角から大きな足が覗いたんだわ。あたし、驚いちゃったもの。すぐにトイレに戻ったんだわ。早く逃げないと。でも、あの子のこと、置いていけないの。
「は、ハーマイオニー、逃げないといけないわ」
あの足が、なんの足だか分からなくて、あたしそんな幼稚なことしか言えなかった。どこかで見たことがあるのよ、でもそれがなんだったのか、あたし思い出せないの。ここまでは出ているのよ、本当だわ。
「あん……あのね、大きな魔法生物が、ここへ向かっているのよ。逃げなきゃ、ころ出されちゃうかもしれないわ」
なんだったかしら。見たのはきっと家だわ。大きな足だって、いつも思ってたの。パパに聞いたこともあったわ。あれって一体なんなのかしら。
「おねがい、出てきてちょうだい」
考えて、考えなさい。エリカ・マルフォイ。
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月6日 20時
