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「A」
そんなことがあってから、少し時間が過ぎた。機嫌の悪そうな声に振り返るとテュフォンが立っていて、僕は眉をひそめてそちらを見る。テュフォンばかりにはわざとな湯をひそめて接した。彼の方も当然、険しい顔をしていた。
「アラクネの婚約が決まった」
「……え？」
僕は驚いてそんな風に言葉をかえす。テュフォンはやっぱり険しい顔をしたままである。
「まだ、アラクネは15じゃないか」
「この時代だ。父や母は家の安定を望んでいる」
「……」
「お前がどうこう言って変わることじゃない。勿論僕もだ。どうせ僕らは、親には逆らえない」
「わかってるさ。君に言われなくたって」
「ふん」
少し沈黙。テュフォンのことはあまり好きではないけれど、それでも今の彼の気持ちは、僕が一番わかるような気がした。もっとも、口に出せば彼はめちゃくちゃに怒るだろうけれど。
気まずい雰囲気に、僕は口を開く。
「相手は？」
「セルウィン家の次男だ」
「それって、死喰い人の……」
「しっ、声が大きいぞ」
「ごめん」
小さく謝る。それ以外のことを、僕が今の彼に言うことは出来ない。
「次のクリスマスで、すぐにでも結婚をする」
「そう」
「……いやでも帰って来い。アラクネは、お前を慕っている」
「ああ。約束するよ」
そう言うと、何か言いたそうな顔を残したまま、テュフォンは去って行く。僕はふっとため息をこぼした。
きっといつか、いや、近いうちに戦いが起きるのだろう。純血と、そうでない者たちの戦いが。だからそれに備えて、より清い血を持つ家に嫁いだ方が安全であることは明確だ。
彼女が幸せになれればいいのだけれど。例のあの人が復活したこの時代に、それが叶わない確率の方がずっと高いのだけれど、僕は確かにそう思ったのだった。
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あんころころもち@多忙(プロフ) - 宮野 ミヤさん» お久しぶりです。ありがとうございます✨私も恋愛からの葛藤が大好物です。おそろですね笑 あうっごく遅い更新ですけれども、お付き合いいただいてすっごく嬉しいです。完結だけはさせる気でおりますので、ぜひよろしくお願いします！ありがとうございました！ (2022年10月2日 9時) (
レス) id: 8fbdbf2cf0 (このIDを非表示/違反報告)
宮野 ミヤ(プロフ) - Part10お疲れ様でした！今Partも楽しく読ませて頂きました、恋愛からの葛藤めっちゃすきです！これから応援してます！！ (2022年10月2日 3時) (レス) @page50 id: 928a7d13f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 雪城さん» ありがとうございます〜！一気だなんてお時間をめちゃくちゃ取らせてしまった気が……。読んでいただいて嬉しいです、ありがとうございます！！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: e2b3768714 (このIDを非表示/違反報告)
雪城(プロフ) - 面白いです…！！Part1から一気に読んでしまいました！！更新応援してます！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 架印�靴気�» 教えていただいてありがとございます〜、そちらも覚え違いです…。時間はかかると思いますが、ちょっとずつ直していきます！改めて教えていただいてありがとうございます〜！ (2021年12月12日 18時) (レス) id: e3a1ddbb66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月5日 15時
