そのじゅうはち。 ページ18
さて、それから数十分後、私はエイドさんの言葉の意味を理解することになる。無事保健室から解放された私は、なぜだかモリーとダフネに高圧的に睨まれていた。モリーの明らかな軽蔑的な視線に、思わず身構える。
「あんた、なに考えてんの？」
「……な、なにが」
「今更いい子ちゃんぶってんじゃないわよ。あんたのそういうおどおどした態度見ると、イライラする」
「……」
何も言えなくて、縮こまっている。元のその、「パンジー」の姿の知らない私には、元のパンジーの性格なんて知らない。知るわけがない。
「なんとか言ったらどうなの？あたしらを裏切って、その野蛮な寮にどっぷり浸かってさぞかし楽しいんでしょうね」
そして彼女は身を翻して去って行く。私が呆然とその姿を見ていると、先ほどまで無表情だったダフネが、にっこりと笑った。
「ごめんね、パンジー。モリーは悲しいのよ、あなたが違う寮になっちゃったんだもの。あの無能な組み分け帽子のせいで。あなただって、あんなくだらない寮に入りたくはなかったんでしょう？」
笑顔とは裏腹な、冷酷な瞳。頷かなければ、お前との縁はここまでだとばかりな視線。
「……あん、あの」
「おいおい！」
「……」
今までこんな経験をしたことのなかった私は、恐ろしくて何も言えなかった。そんな私の背後から、大きな声が響く。
「うちの寮生になんの用だ？」
「そんな絡み方ったらないぜ。大丈夫か、パンジー」
名前は__確かジョージ(お猿のジョージみたいだなあと思ったら覚えられた)とその双子の人たち。この燃えるような赤毛はウィーズリー家の人たちだったはずである。
「貧乏人には分からない話よ。それじゃ、パンジー、またね」
冷たい声を出したダフネ。そしてすぐに笑顔をに戻って、私に手を振り去って行った。
「改めて、大丈夫か？」
「あ、は、はい」
「そんなにガチガチになる必要はないぜ」
「取って食ったりしないから安心しろって」
にっこりと笑うこの人たちは優しそうで私は少しだけ安心した。少し前までにこやかに談笑していた人たちに、あんなにも凄まれるだなんて恐ろしくて、私はその日思わず、ほぼ初対面の男の人の前で涙を流したのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんころころもち@多忙(プロフ) - 星さん» コメントありがとうございます❤️ 等身大の女の子が作りたい〜って思って作ったので、そう言っていただけるとすごく嬉しいです！ すごくゆっくり更新ではありますが、精一杯頑張ります！ (2023年2月13日 13時) (
レス) id: 54c52f82c3 (このIDを非表示/違反報告)
星 - 小説とても面白いです！更新頑張って下さい！ (2023年2月4日 17時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - るるさん» わ〜嬉しいです！正直題名が安易で面白くなさげかな〜と思っていたので、そう言っていただけるとテンションが上がります！💕💕更新は遅くなってしまうとは思いますが、精一杯頑張りますので、ぜひよろしくお願いします！ (2022年1月9日 13時) (レス) id: e3a1ddbb66 (このIDを非表示/違反報告)
るる - すごく面白そうと思いひらいてみたら自分好みの作品でした！この作品に出会えて良かったです！😍 これからも頑張ってください😊😊 (2022年1月7日 22時) (レス) @page15 id: 9de77796a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月21日 11時
