1話 ページ1
『“鏡や、鏡、壁にかかっている鏡よ。国じゅうで、だれがいちばんうつくしいか、いっておくれ”』
僕は、A。名字は知らない。
この名前だけが、今でも残る親から貰ったプレゼント。
…その人たちの顔ももう覚えてない。
「A〜?どーしたの?つづきよんで?」
『…うん。“すると、とうとう鏡が答えました。女王さま、お国でいちばん……”』
「A」
名前を呼ばれて顔を上げると、
『…はい。なんですか』
「君に会いたいという人がいる。付いてきなさい」
『はい。ごめんね皆』
「えーなんでー!!」
「もっとよんでよ!!」
「静かにしないかお前達!!来客中だ!!」
院長の声に皆が肩をビクつかせて黙り込む。
今にも泣き出しそうな子もいる。
『……先生。お客様に聞こえますよ』
「…来なさい」
…引っ張るなよ。痛いだろう…
どうせ、お客様が来たっていうのも嘘なんだ。
また僕に西からの暗号でも解かせる気なんだ。
********************
「はじめまして。私はロイド・フォージャーだよ」
嘘じゃなかった。
『はじめまして。Aです。ロイドさんはどうして僕に会いに来たんですか?』
「君を養子に貰いに来た……と言って伝わるかな?」
『僕を、養子に…?』
スーツも良いものを着ているし、身だしなみもちゃんと整ってる。
何より優しそうだった。
さっき院長は
孤児院では普通、子どもを引き取りたいという人に対し、施設の職員が希望に沿った子どもを提案する。
何故この人は最初から僕を探していたんだろう。
僕の知能を知っているのかな…
「嫌…かな?」
「ごほん。本人も乗り気ではないようですし、お帰り願えますか。私たちもこの子が気に入らないところへ引き渡すつもりはございませんので」
…このままこの人が帰ってしまったら、もう二度と僕を引き取りたいなんて言ってくれる人は現れないかもしれない。
この人も、今は優しそうなだけで本当は怖い人かもしれない。
でも、でも……ここよりはいい環境かもしれない…
「ふむ…ですが……そうだ。うちには娘も1人いるんですよ。君よりは年下だと思うけれど…どうだい?」
妹……もし怖い人だったとしても、歳の近い子がいれば不安じゃないかも…!
『僕、貴方の子どもになりたいです…!』
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彩豊(プロフ) - フォージャー家の新たな一員になり、とてもドキドキしました!これからどんな学校生活になるのかが楽しみです(*^^*)てぇてぇ…さん、続きを心からお待ちしておりますっ! (2022年10月10日 15時) (レス) @page4 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
モチ(プロフ) - めっちゃ好きです!更新まってます!! (2022年8月16日 5時) (レス) @page4 id: 91e5f72c7d (このIDを非表示/違反報告)
羅維@raira - 更新待ってます‼めちゃめちゃ面白いです‼ (2022年7月22日 13時) (レス) @page3 id: 875565d54e (このIDを非表示/違反報告)
rurinigana(プロフ) - めっっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2022年7月17日 23時) (レス) @page3 id: 29637ba3af (このIDを非表示/違反報告)
ちーや - ヤバい…好きぃぃぃ!更新待ってます! (2022年7月1日 22時) (レス) @page3 id: 260906d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てぇてぇ… | 作成日時:2022年6月20日 0時