Sunday_Izawa side ページ7
Sunday_Izawa side
今日も今日とて収録がある。
昼過ぎからを予定しているのだが、その前にと俺はあるところに向かっていた。
朝は苦手だが、今日は早起きに成功して良かった。
閑静な住宅街の中を、愛用の自転車で颯爽と駆け抜ける。
ふとあるアパートに辿り着き、俺は何の躊躇もなくある一室の呼び鈴を押した。
一昨日この部屋の主が特に予定はないと言っていたので、今日ここにいることは分かっていた。
30秒後、ガチャリと玄関ドアが開く。
そこにはラフな格好で前髪をポンポンのついた髪ゴムでくくった彼女が。
にこりと彼女に笑いかけると、彼女は口を大きく開けて驚愕を表現していた。
『なんでいるんですか!?』
「会いたくなったから来ちゃった」
へへ、と頭を掻きながら笑うと、彼女は呆れたように息をついた。
『事前に言ってくれればこんな格好を見せずに済んだのに…』
どうやら部屋着姿を俺に見られたくなかったらしい。
「どんな格好だって可愛いよ」
俺のその言葉に、彼女は俺をジロリと睨みつけた。
『伊沢さんの可愛いは信用できません』
「そんなこと言わないで。ほんとに全部可愛いと思ってるんだから」
機嫌取りではなく本心だったのだが、彼女はいまいち信用していないようだった。
彼女の腰にスッと手を回したが、まだここは玄関で、ドアは閉められてない。
『人から見られますよ』
不満そうにそう言う彼女に、俺はしめたとばかりに
「じゃあ中入ってもいい?」
と言ってのける。
『…どうぞ』
少し嫌気を含んだ声で呟く彼女だったが、その口元がふと緩んだ瞬間を俺は見逃さなかった。
あぁ、もう。
そういうところだよ。
口に出すとまた怒られてしまいそうだったので、おとなしく黙っていることにした。
玄関からリビングへ向かう彼女の後をついて行ったが、ふと我慢できなくなり俺は彼女の腕を取り、強引にこちらを振り向かせた。
目を見開く彼女の柔らかそうな唇に深く口づける。
『―…っ』
息つく暇もないくらいに甘い唇を貪れば、彼女は力の入らない拳で俺の胸をトン、と叩いた。
ゆっくりと唇を離せば、彼女は潤んだ瞳で俺を見上げている。
やばい、可愛すぎる。
『…いきなりなんですか!』
第一声は、抗議の言葉だった。
やっぱり怒られたか。
「我慢できなくなっちゃった」
ぺろりと舌を出すと、どうやら火に油を注いでしまったようだった。
『びっくりするのでやめてください!』
「ごめんごめん」
俺は眉を下げて笑いながら、彼女の顕になっているおでこに小さなキスを落とした。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年9月28日 12時