Weeeeeeek【QK】 (ページ5)

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Friday_Kawamura side ページ5

Friday_Kawamura side

やばいやばい。
オフィスに忘れ物をしてしまった。

別にヘッドホンなんて今夜一晩なくても良いのだが、忘れたのに気づいたのがオフィスを出てすぐだったので、取りに戻ることにした。

ガチャリと鍵を開け、まっすぐに作業部屋へと足を進める。

するとそこには、思いもよらない光景が俺の目に飛び込んできた。

…部屋の中央で、抱き合ったままくるくると回り続けるCEOとその彼女。

なんだこれ？幻覚か？

あまりに非現実的すぎる場面に遭遇し、俺は思わず眼鏡を外して目をこすってみた。

だが状況は何も変わらず、相も変わらず同じ光景が広がっていたのだった。

俺の存在にまったく気づく様子のない彼らは、アハハウフフと笑い声を上げながら物凄く楽しそうに回っている。
(いやあれは踊っているのか？)

呆然と立ち尽くしながら彼らを見つめていると、ふと伊沢の肩越しに彼女と目が合った。

その瞬間、彼女はドンッとなかなかすごい音がするほどの力でそれまで抱き合っていた彼の身体を突き飛ばした。

『かっ河村さん！？？？』

彼女は顔面蒼白で俺の存在を認める言葉を告げた。

気まずそうに一歩中へと踏み込んだ俺は、

「ごめん、忘れ物しちゃって…」

と頬をポリポリ掻きながらここにいる理由を述べる。

ただひたすらに顔を赤くしながら口元を手で押さえる彼女と、突然彼女に突き飛ばされ何が何だか分からない様子の彼。

まぁ、そうなって当然だろうな。

まさか俺らが帰った後、こんな形で2人の時間を楽しんでいたなんて。

普段なかなか2人きりになれないということは分かってはいたのだが、こうして彼らはスキンシップとコミュニケーションを取っていたのか。

この事実を他のメンバーにも言いたい気持ちと、言ってしまったら彼らに悪いだろうなという気持ちが俺の中でせめぎ合っている。

それにしても、すごい現場を目撃してしまったものだ。

忘れたくても忘れられない衝撃すぎる場面は、この目にしっかりと焼き付いている。

「邪魔してごめん」

俺はそそくさと自分の席に置き忘れたヘッドホンを手に取ると、逃げるようにその場を離れた。