匂わせちゃう系男子。11 ページ11
オフィスの時計が午後4時を回った頃、彼がやって来た。
「おっす」
「お疲れー」
「お疲れさまでーす」
『お疲れさまです』
一瞬だけ彼と目が合ったが、朝のキスのことを思い出してしまい、まともに彼の顔を見ることができない。
彼はそんな私をあまり気にかけない様子で、その場にいるメンバーに話しかけ始めた。
「今日収録の打ち合わせだったんだけど、プロテイン忘れたから一回家に帰る羽目になっちゃったよ」
ドン、とプロテインの入った容器をデスクの上に起きながら彼は苦笑いをしている。
「プロテインのために一回帰るんだ…」
とこうちゃんが唖然とする中、彼はふとズボンのポケットから何かを取り出し始めた。
そして。
「あ、Aちゃん昨夜イヤリングかたっぽ忘れてったよ」
そう言いながら私の方に手のひらを差し出した彼。
その上には私がつけ忘れていたことも忘れていた左耳のイヤリングが。
思わず右耳に触れ、そちらにだけしかイヤリングをつけていなかったことを思い出した私は、
『すみません!』
と謝罪を述べながらもう片方を受け取る。
しかし。
「えっ昨日泊まったの!?」
というこうちゃんからの大ツッコミを入れられたことで、私の中の時が止まった。
あんなにお泊まりが周りにバレないようにと細心の注意を払っていたというのに、最後の最後でバレてしまった。
彼がこっそりとイヤリングを渡してくれれば良かったのに、わざわざ皆に聞こえるように声を大きくして。
キッと彼を少しだけ睨みつけながら、
『い〜ざ〜わ〜さ〜ん〜!!!』
と恨み節を述べる。
「いや、俺は昨夜の忘れ物のことを言っただけで、泊まったとは言ってないから!」
そんな屁理屈を並び立てながらも、彼はペロッと某ケーキ店のマスコットキャラクターのように舌を出した。
あ、これは確信犯だ。
私は頭を抱えながら呆れ顔。
結局私が何かを必死に隠そうとするものの、彼によってすべて暴かれてしまうということを知った私は、彼に秘密を持ちかけるのをやめようかと思わずにはいられなかった。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年9月16日 20時