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店内はクーラーが効いていてとても涼しかった。
ふうと息をつきながら、その本のありそうなコーナーへと向かう私。
大きい括りで言うのなら文学だし、より限定するのであれば評論。
文豪達の有名な言葉を取り上げた評論集、というのが正しいのだろうか。
少しマニアックなような気もするが、果たして本屋さんに置いているだろうか。
それらしい棚を行ったり来たりしてみるが、スマホの画面で見た表紙と同じものはなかなか見当たらない。
5分後、ついに店内在庫を検索する機械の存在に気づいた私は、すぐにタイトルを入力してみた。
ワクワクしながら検索結果を待つ。
すると、まさかの“在庫がありません”の表示が。
ガックリと肩を落とす私。
やっぱりマニアックだったか、と思いつつ、目的もなく店内を歩き始める私。
気持ちを切り替え、先程の本はインターネットで買うことにして。
この時点で彼との待ち合わせ時間までまだ20分もあった。
あと10分くらいウロウロしようと心に決めたところで、私の足は自然と雑学のコーナーへ。
お目当ての本の背表紙を、たくさんの本が並べられた中から探していく。
ふと見覚えのあるそれを見つけ、私は精一杯腕を伸ばし高い位置にあったその本を手に取った。
大きな文字で“QuizKnockLab”と書かれたタイトルの真ん中には、小さく大好きな人の名前。
家にも3冊ほど(うち1冊はサイン入り)あるのだが、どうしても本屋さんに来ると探してしまう。
何回も読んだ内容ではあったが、なぜかペラペラとページをめくりながら中身を確認する私。
あぁ、読み始めてしまったら絶対にあと10分でここから離れることなんて不可能なのに。
分かってはいたものの、その本を元の場所に戻すことはできなかった。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月5日 12時