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約15分後、ようやく自宅に到着。
千鳥足の彼女の手を引きながら、自室の鍵を開けて中へと入る。
よし、なんとか帰って来られた。
彼女の荷物をドサッと床に置いた俺は、彼女をソファに座らせキッチンでコップに水を注いだ。
それを手に彼女の元へと戻り、
「はい、これ飲んで」
と彼女に半ば強引にそれを渡す。
大人しくそれに従ってくれた彼女を見て満足気に頷き、空になったコップをテーブルの上に置くと。
彼女は今にも深い眠りに落ちてしまいそうになっていた。
慌てて俺はたった今床に置いたバッグを掴み、彼女とそれをバスルームへと押し込んだ。
「寝る前にシャワー浴びて!」
今にも意識が飛びそうな彼女はフラフラしながらもなんとかそれに従ってくれて。
着ていたカーディガンをおもむろに脱ぎ出したのを見届け、俺は即座にその場から立ち去った。
危なかった。
別に俺が脱がせても良かったのだが、それを後から知った彼女からどんな非難を浴びせられるか分からない。
3分後、無事シャワーの音が聞こえてきたことに安堵した俺は、ふと寝室へと足を運んだ。
とりあえず、シーツだけ替えておこう。
彼女は俺の匂いを好きだと言ってくれるが、それでも万が一嫌な顔をされたら非常に傷つく。
ササッと手早くシーツを交換し、俺はいつもは絶対にしないベッドメイクを試みた。
シーツをピシッと張って、枕の位置を整え、掛け布団の表面を整える。
ぽんとベッドに軽く手をついた俺は、彼女がここで眠る姿を想像して思わず笑みを漏らしてしまった。
俺がシャワーから出てくる頃には、きっと彼女は深い眠りについているに違いない。
だが、彼女をこの腕に抱いて眠れるということを幸せに感じた。
しばらくするとシャワーを終えた彼女がのそのそとリビングにやって来たのだが、相変わらずの寝ぼけ眼。
どうにも彼女には何でもしてあげたくなってしまう俺は、洗面所からドライヤーを持ってくると、ソファに彼女を座らせてその濡れた柔らかい髪を乾かし始める。
あれ、本当に俺と同じシャンプーを使ったんだよな?と思うくらい、甘い匂い。
指からこぼれ落ちていくサラサラな髪に、無意識にドキドキさせられる。
10分ほど乾かし続け、ひと仕事終えた俺は自分もシャワーを浴びてこようかと立ち上がった。
だが、コクリコクリと船を漕ぎ続ける彼女が心配で仕方なくて。
「Aちゃん、寝るならちゃんと歯磨いてからにしてね」
と保護者のようなことを言いながら、バスルームへ。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月5日 12時