腕相撲クイズ、私視点。2 ページ2
『こんにちはー!』
勢い良く玄関ドアを開けた私は、お腹の底から声を出して挨拶の言葉を叫んだ。
その足で撮影部屋へと行けば、すでに今日のメンバーが勢揃いしている。
さすが腕相撲をするというだけあり、撮影部屋のレイアウトが少し変えられていて、いつも横長に置かれているテーブルが縦長に置かれていた。
「え!?今日の撮影ってAちゃんもいてくれるの!??」
私の姿を見た瞬間、それまで軽く身体をほぐしていたらしい伊沢さんが目を輝かせながらこちらへと駆け寄って来てくれた。
「うわーそんなのもう絶対伊沢の勝ちじゃん」
河村さんは企画の段階ですでに嫌そうな顔をしていたのだが、今はもう本格的なの嫌悪感を示している。
「俺は今日に備えて昨日の夜腕立て20回くらいしてきたから、優勝する未来しか見えないね」
こうちゃんはグッと拳を固めながら闘争心とやる気をむき出しにしていた。
「あれ、こうちゃんこの前“一夜漬けは意味がない”って言ってなかったっけ」
その隣でニコニコしながら山本さんがツッコミを入れている。
あ、もう駄目だ。
すでに尊い。
カメラが回ってないのにも関わらず、ここまで面白くて可愛らしい彼らのやり取りに、私はうっかり涙を流しそうになってしまった。
「あ、Aちゃん来たんだね」
ふと作業部屋から、タブレットを手にしたふくらさんが現れた。
『ふくらさん!今日は同席の許可をいただきましてありがとうございました』
心からのお礼を述べながらぺこりと頭を下げると、彼は朗らかに笑いながら
「問題に正解したら1分間そこからぶら下がるっていうルールだから、皆の苦しむ顔が見られるよ〜」
とさらりと怖いことを言い、ふとステンレス製の大きな機械を指差した。
腕相撲をするとは聞いていたが、そのルールについては知らなかった。
撮影部屋の端に置いてある筋トレ用?の器具を目にした私は、それをまじまじと見つめたのだった。
なるほど、ここからぶら下がるのか。
1分間、腕の筋肉だけで自分の体重を支えるというのは相当きついことなのだろう。
それを見ていたらなぜか無性に好奇心が湧いてきてしまい、私は背伸びをしながら試しにそれにぶら下がってみようと腕を伸ばした。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月2日 14時