どうせ愛なんて

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side.桃
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台風が接近してきている。







桃「はぁー… もう、」




やのに今日はバイト。





夜になるにつれて雨風が強くなるっていうてんのに、よりにもよって今日はラストまで。








あれから、大毅さんのことは考えないようにしていた。




会うことはもちろんなかったし、連絡も取らへんかったし。







桃「えー… 雨やっば」





傘なんて意味ないんちゃうかってくらい叩きつけてくる雨にうんざりしながら帰り道を急ぐ。






そんな時やった。








桃「…… 大毅さん？」





傘もささずに歩いとる人が俺の少し先におって。






その人はフラフラで、今にも倒れそうで。





この道は人通りも少なくて、今この場には俺しかおらん。






傘を差し出してあげられるのも、俺だけ。








桃「ちょ、何してんすか！！」






その人は、やっぱり大毅さんやった。









赤「ぁ…… 望くん …」


桃「っ…」





大毅さんが俺の名前を呼んでくれたのは、この時が初めて。






やけど、





赤「げほ……ッ！！ ぅ 、」


桃「大毅さんっ？！」






次の瞬間、大毅さんは大量に嘔吐した。





初めて出会った時と同じように。








桃「大毅さんっ！ しっかりしてくださいっ！！」






今日は1日を通して全体的に気温が低かった。




おまけに台風の影響で雨風も酷い。








触れた大毅さんの身体は驚くほど冷えきっていた。

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