&...［8］

+ ページ10

*





「あの身なりで真剣に少女漫画読む聡泰さん笑」

「ふはっ、なに笑ってんの」

「だってドレッドで輩感満載の服着て恋愛話に涙ぐんでたりしたら・・・」

「はははっ！やめてよ、Aちゃん！
想像しちゃったじゃん！
ふははっ、それは、確かに、ヤバイ笑」

「あ、洋平さん！また見えてきましたよ！」




今まで笑ってたのが嘘みたいにピタッと止まって、
彼女がチラチラと目線を窓に移す。


そこまでして見たいと思うほど好きなんだ笑




「ほんとにいいですよね！
色も形も、ピカピカ赤くてキラキラ！」

「ふはっ、」

「あ、笑った」

「いや、だって言い方がさ、笑」

「あっ、なんかあれですよね。
頭悪そうな感じ、、、でした？」

「いや、それで笑ったんじゃなくて。
好きな気持ちが真っ直ぐ出てるなーって思って」

「・・・それ、やっぱり馬鹿にしてます？」

「してないよ！笑」




雑多なビルに飲み込まれては、
また赤い姿を現わす東京タワー。




「東京タワー見ると元気が貰えて頑張れちゃいそう」

「そうなんだ」

「あ、東京の人は見慣れてるからそんなことないのかな。
私は大好きなうえに普段見れないからかも」




うん、確かにそういうところはあるのかな？


地元では食べれないスイーツや買えない雑貨とか
こっちで買えると喜んでるから、
少なからず東京という地に憧れはあるみたいだし。




時折、正面から目を離してしまう彼女に変わって
俺が前を見ながら
万が一、車線をズレても大丈夫なように
助手席からハンドルへ手を伸ばす。




ていうか、俺が運転出来れば
彼女にゆっくり見てもらえるんだよな。




チラチラと窓の外を気にする彼女の気配を感じながら
仮免で止まったままの運転免許、
早く取りにいってあげたいなって思った。





*

#135_Stay at Home→←#134_Tower of Tokyo〈O2+〉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す