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「あー、生放送だといつもなにか失敗するもんね」

「・・・思い出させないでよ苦笑」

「言い出したのそっちでしょ？笑」




気分が上がらない理由を並べてみたら、
度々やらかしている某音楽番組のことを思い出してしまった。




「どうする？映画でも観る？」




そんな俺の気分転換に、とでも思ったのか
Aがそう提案してくれた。




「うー・・、うーん、、うん、」

「観るでいいの？笑」

「うん、観る」

「なに観る？」

「うーん、そうだなあ・・・」




今の気分じゃ、派手めな映画はちょっと辛い。
コメディもきっと笑えないだろうし、
その手の映画は観てもたぶん楽しめない。




「あんまり浮き沈みのない淡々としたやつがいい」

「え、そんなこと言われても分かんない」

「ははっ、そーだね」




俺と違ってあまり映画を観ないAに
映画のタイトルを選ばせるのは酷ってもんだ。




「貸して」




彼女が持っているリモコンに手を伸ばす。
表示した番組表をざっと見ながら、
これでいいかと適当に選んだ。




今日はもうこのままずっと、
彼女の膝の上でうだうだしていたい。




たまにはこんな日があってもいいよね。
無理に気分を上げようとも思わない。


低空飛行なら徹底的に低空飛行のまま、
そうすればきっとまた明日には気分も変わっているだろう。




でも、そうは思っても
一緒に居るAのことが少しだけ気になって




「つまんない？」

「んーん、そんなことない」




膝の上から見上げたAは、
意外にも画面に目が釘付けだった。




自主的に映画を観ることはほとんどないけれど、
流し始めると意外と嵌まってしまうのが彼女なのだ。


それを知っているから、
彼女の膝を数時間確保するために
映画を観ることにしたんだけどね。笑




だけどこの映画は、
Aがいつも嵌まってしまうジャンルとは違うから
今日は無理かなーって思っていたけど




・・・ふーん、なるほどね。
こういうジャンルもいけるんだ。




それは俺からしたら新しい発見で、




まだ知らない新しい彼女を見つけられたことに
鬱蒼とした気分から少しだけ抜け出せたような気がした。





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