&...［8］

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「うん、・・・だいたいこんなもんかな。
あ、CM決まってるし、“青”は入れた方がいいか」




どんな言葉にすればいいかを考えて、




青いメロディー




そう書いて、
きゅきゅっと力強く二重に下線を引いた。




どんなに迷っても、結局の居場所は
今いる此処で、この場所で、


それならこれから先も
俺たちらしい音楽を奏でていくよ。




そうやって今を自分らしく生きていけば
それが皆んなにも届いて、愛しい彼女にも届くから。




そんな風に思いながら機内サービスで貰ったコーヒーを片手にもう一度窓の外を眺めれば
地平線を染めていた光はさらに強い色を放っていた。




「・・・お、出来た？」

「んー？まだ」




うとうととして、
結局目を覚ましてしまったらしいヒロが
その目を擦りながら聞いてきた。




「その割にはけっこう書いてあるじゃん」

「書こうと思ったことを書き綴っただけだから
これから纏めなきゃなんだけどね」

「へー、・・・なんか洋平が今この日常を唄うのって珍しいね」

「え？あー、まあ、そうだね」

「これってなんかさ、
・・・所々Aちゃんに歌ってない？」

「ゴフッ、」

「わ、汚ねえ！」




ヒロの言葉に、
思わず飲んでいたコーヒーを詰まらせた。




「いや、お前が変なこと言うからだろ！」

「え？そんなに変なこと言った？
会えなくて寂しいのかなって思ったんだけど」




いつもはそういうことにあんまり気が付かないクセに
今回だけは妙に勘がいいな。




「あ、もしかして、これタイトル？」




紙の一番上に殴り書きして、
シュッと丸を付けた言葉をヒロが指差す。




「うん、そう」

「え、こんな色の名前あるの？」

「さあ？知らない笑」

「なんだよ、適当かよ！笑
・・・うん。でも、なんか良い感じするね」

「でしょ。俺もそう思う」




甘くて酸っばくて塩っぱいような、
なんとも言い表しづらいこの気持ちに
俺は月色と名付けた。




あまり変わり映えしない日々も、
窮屈な日常も、


会えない日々も、
積もる想いも、




全てを音にして、吠えたり叫んだり、
たまには静かに囁くように歌いながら




全部まとめて、すべてを抱えて、
今をただ生きていく。





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