馬鹿者9 ページ17
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赤井「君には関係ないだ..っ!」
突然思いっきり胸ぐらを掴まれた。
いきなりの事に少し驚き手首を離れるように掴もうとするが、その俺を掴む安室君の表情はあまりにも切なくて目を見開く。
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降谷「俺はAには本当の笑顔で笑っていてほしい。本当に幸せになって欲しい。なのに...」
少し悲しみを含んだ声で呟いた降谷零の言葉を聞き、掴もうとした手は力が抜けた。
その瞬間、狙っていたのか一気に強い力で掴まれた胸ぐらを強く揺すられ、突き飛ばされる。
いきなりのことで驚いたが、上手く手を付き上体を元に戻した立ち上がった。
そして、なんとも言えない顔で俺を見つめる降谷零の目が合う。
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降谷「中途半端だな、赤井。」
赤井「...」
降谷「Aは自分の感情を表に出すのが苦手だ。そんなAは今、心を開きつつあるだろう?認めたくないがそれはお前のおかげだと思っている。それにお前だって...Aを...」
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こういう所だ。苛立つ程の洞察力の鋭いところが敵に回したくない理由だ。
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赤井「中途半端なのは分かっている。だが...」
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俺にも心からAを愛せない理由があるのだ。
本当にAを愛していいのか。
そう自分で問うたびに、明美の影が俺の中でちらつく。殺してしまった罪悪感と明美を愛してしまった自分への思い残し。そんな自分が他の女を愛し、幸せになってもいいのだろうか。
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だから、愛するのに中途半端になってしまう。
降谷「何が、だが...だ!!」
安室君は叫ぶように感情的に怒鳴った。
降谷「ズルズル過去に引っ張られて中途半端にしか愛せない奴が、いつまでAを自分の手元に置いておくつもりだ!...俺だったら!!
俺だったら全てを捨ててでもAを愛する覚悟がある!」
赤井「!」
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偉そうに知った様な口をききながら、俺の顔面に拳を叩き込んでくる降谷。
それを避け、俺も蹴りを繰り出すがそれも簡単に避けられる。
その降谷の言葉に胸が黒く染った。
Aを誰にも渡したくない、そんなどろりとした感情。Aのことを、誰よりも知っている様な口ぶりに腹が立つ。
そうか...
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これが答えか。
今の降谷の言葉で気持ちにケリはついた。
もうここまで自分の気持ちに気づいていて、今更Aと別れる覚悟など、そんなもの無い。
今の降谷の言葉に対して生まれた感情が、
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俺の答えだ。
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よる - イッキ見しましたー!2日かかった…(読むのが遅いだけ)面白かったです!更新待ってまーす!笑 (2020年3月14日 15時) (レス) id: c5f0e73031 (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 更新まだですか?待ってます!! (2020年2月13日 0時) (レス) id: 4ec1a4318b (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2020年1月21日 23時) (レス) id: bae193555e (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 更新まだですか.....? (2020年1月12日 23時) (レス) id: 4ec1a4318b (このIDを非表示/違反報告)
氷 - めちゃくちゃ面白かったです!個人的にルパン達との絡みを増やしもらったら嬉しいな、と。これからも頑張ってください! (2019年12月22日 20時) (レス) id: 0dd927e5ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:235711 | 作成日時:2019年10月13日 21時