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前はこうじゃなかった、と現実逃避のように思考が駆け巡る。

前も怖かったけれど、ここまで怖くはなかった。ただ、このまま人助けとは関係なく死ぬわけにはいかないと、そればかりで。ここは私の死に場所じゃないと、そう思った。


いつからだろう。いつから私は、こんなにも純粋に「死」を恐怖するようになった?


「このまま何とか撒ければ……。っAさん!」

「えっ?」


曲がり角を曲がろうとした瞬間、東堂さんに急に突き飛ばされ、私は思い切り転んでしまった。しかしコンマ一秒あるかないかで、ギィンッ!と耳障りな音が頭上から響く。

慌てて身を起こして飛び退くと、東堂さんと、曲がり角の向こうから現れた志士の一人が刀を抜いていた。曲がり角から斬りかかられたのだと遅れて気付き、血の気が引く。


「東堂さん!」

「Aさん……逃げて下さい!」


苦しげにしながら叫ぶ東堂さんだが、曲がり角からの新手と、元から追ってきた奴らを相手にして無事で済むとは思えない。

私は怯えを殺して唇を引き結ぶと、懐から千本を出した。


何のために、私は稽古を始めたんだ。私の所為で誰かが傷つかないようにするためじゃないか。

こんなところで、見捨てて一人のうのうと逃げられる訳がない――!


「どけぇっ、このド腐れ志士共がァァア!!」


我ながらとんでもない暴言を吐きながら、私は地球人ならばまず出来ない高さまで跳躍し、頭上から殺到する志士達に千本を放った。不意討ちの攻撃に対応できなかった志士達の肩に、腿に、ザクザクと千本が刺さり、即効で痺れ薬が体の自由を奪う。


「Aさ……!?」


暴言かいきなりの反撃にか、目を丸くした東堂さんに斬りかかろうとした志士を飛び蹴りで吹っ飛ばし、私は東堂さんの手を取って走り出した。全員相手にする必要なんてどこにもないし出来ない。空いた隙から、私達は脱兎の如く逃走し、ついでに目眩ましも兼ねて私は煙玉いくつかを後方に投げつけた。途端に上がった「ぎゃあああ」というガチな悲鳴に、東堂さんの顔がひきつる。


「な、何ですか今の」

「唐辛子、胡椒、ワサビ等々の激辛成分入りまくりな煙玉です。食らえばどんな猛者でも泣いてのたうち回りますよ」


因みに試した相手は沖田隊長である。いつかって?そりゃあ鬼ごっこの攻防に決まってるじゃあないですか。生ム◯カが見れてすごかったよ。

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まるの(プロフ) - コメント失礼します!ここまで一気見してしまいました...!すごくおもしろかったです!更新楽しみに待ってます!! (9月12日 1時) (レス) @page18 id: 0f64c498bd (このIDを非表示/違反報告)
カニチャンチャカ(プロフ) - 続き楽しみです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ (2022年3月6日 14時) (レス) id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
bb - 更新待ってます! (2021年8月18日 23時) (レス) id: c3e9c2aa2f (このIDを非表示/違反報告)
神桜(プロフ) - はじめまして!とても面白い作品で3日でここまで一気に読んでしまいました…更新楽しみにしてます! (2021年7月22日 19時) (レス) id: 86ea1c42a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 待ってました!嬉しいです!! (2021年7月20日 22時) (レス) id: 859195a8cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年4月23日 11時

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