検索窓
今日:2 hit、昨日:54 hit、合計:1,317,738 hit

18 ページ19



Aの怒りの爆発。そして家出。


真選組内での大事件から、早くも一週間が経とうとしていた。

仕事の合間に隊士達が捜索するも、手がかりは一切無し。

それもその筈である。Aは隊士達を撒くために、屯所から万事屋までの移動を屋根伝いに行ったので、目撃情報などある筈が無い。


Aがこのまま帰って来なかったら。


そんな不安が、真選組内の空気を重くしていた。


そんな中、土方と沖田はAの部屋にいた。

薬草の独特で少し苦い、爽やかな香りのする部屋には、あるべき主人の姿は無く、どこか寂しげだった。


(…げ)


土方は壁に付けられた沖田人形を見付けると、思わず顔を引きつらせた。

顔面やら腹やらに穴が空き、中から綿が飛び出したそれは辛うじて原型を留めているのみで、何度も何度も刃物で刺されたことが窺える。

少女が人形をナイフで滅多刺し……。想像するだけでもうホラーである。

Aがどれだけストレスを溜めていたのかは想像に難くない。


土方は柱にもたれて座る沖田を見やり、こちらに注意を向けていないことを確認すると、人形をそっと回収した。

土方なりの優しさである。いくら沖田が悪いとは言え、好きな女にここまで嫌われていると知れば、意外に打たれ弱い沖田は絶対にヘコむからである。

だがいざ取り外すと、人形のあった壁には深々とした刺し傷が。


(うーわー……。総悟の奴、殺されそうなレベルで嫌われてんじゃねーか。もう手遅れじゃね?)


「…だから気ィ使えっつったんだ。家出しやがったアイツもどうかと思うが、一番悪ィのはテメェだ、総悟」

「………」


沖田は答えない。それを咎めるでもなく、土方は沖田に背を向ける。


「アイツが戻って来たら、まず謝れ。それからくだらねー嫌がらせはもうやめるこった」


一応そう言い残し、土方は立ち去った。

一人残された沖田は、暫く座ったままだった。じっと何事かを考えていたが、


「……くそ」


そう小さく呟き、徐に立ち上がると外へ向かった。

19→←17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (552 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1290人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。