はんぺんを届けてくれた本人が私の恋人です（震え）

はんぺんふわふわ 74 ページ34

ライブの照明がすべて落ちると、リスナーのみんなの声が大きくなる。


巨大なスクリーンにカウントダウンが表示されるとさらに声が聞こえてきて、私たちの緊張も高まる。





「さて、行きますか。」


二人で手をつなぐとぎゅっと力を込める。ステージに上がれば私たちはただの歌い手仲間。この瞬間だけ、そらるさんの暖かさが伝わることができる。



『はい！よろしくお願いします。皆さんも、協力感謝します！』


まわりにいてくれるスタッフにも笑顔を向けると、そらるさんは少しむすっとした。


けど、その顔もすぐにいつものそらるさんに戻ると、手を離しマイクをきゅっと握る。







カウントダウンが5、4、3と私たちの出番を早める。もう覚悟は決まってる。早くみんなの前で歌いたい。



2、1



そらるさんに、さっきのとは違う歌い手への笑顔を向けると彼もまた違う顔を向けた。



『…すぅ、はぁ。』

心臓が早い。呼吸が早い。みんなの声もどんどん大きくなる。そらるさんも少し顔が固い気がする。


全て私たちのライブに向けられたもの。







0

それが写し出されたとき、会場に爆音の音楽が流れる。


それがライブの始まりの合図








そらるさんと向かい合うと、舞台袖から全力で叫んだ。



「『いくぞーーー！！！』」


そして走り出す。



みんなの待つ舞台の上へ。

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