はんぺんを届けてくれた本人が私の恋人です（震え）

はんぺんふわふわ 67 ページ27

お風呂に入って出てくると、そらるさんはソファーのうえで寝ていた。




え、風邪引きますよ。ライブ前に風邪引いたら不味くないですか。



『…寝顔かわいい。』

「ん、聞こえてんよ。」


うわ、嘘寝とか…。

『…嘘寝なんて嫌われますよ。』

「別にソファーで寝転んでただけだから嘘寝じゃなーい。」


ソファーから降りて屈伸をするとお風呂室に入っていった。

まあ、確かに此所最近忙しかったし。

…でもこれからが一番大変だよ。



あと、一週間か。


ライブ、うまくいってほしい。たくさんの人を笑顔にしたい。ファンの皆たちはもちろんだけど、今は隣に立っていられるそらるさんにも。



『…でも、みんなにそらるさんの笑顔見せるのはちょっと妬いちゃうなぁ。』


あなたの何もかもが欲しい、なんて死んでしまっても言えないんだろうな。



さっきまでそらるさんが寝転んでいたソファーに座る。




素直になれないわけじゃあない。

今だって私の素だ。

私が見せたいのは素ではなく欲。



そらるさんが欲しいという欲。






恋人なのにこんなことを思っている。

恋人になる前と今と。

思っていることは、同じ。

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