はんぺんを届けてくれた本人が私の恋人です（震え）

はんぺんふわふわ 65 ページ25

『ごちそうさまでした。』

「おいしかった。ありがと。」


いえいえ。そう言いながらそらるさんの分の食器も洗い場に持っていく。



少し話をした程度な比較的静かな食事だった。それは、そらるさんがなにかを考えていたからで。



美味しいと言ってくれていたけど、なにか苦手なものでも入っていたのか。でも好き嫌いはない方がいいし←




「ねえ、A。」

『ひっ！』


洗い物をしていると急にそらるさんは私の腰に手を回しぎゅっと引っ付いてきた。
え、なんですか、かなり急じゃないですか。ってか、そんな耳元でしゃべるな耳弱い。


「Aは俺とご飯食べるの楽しい？」

『え、急にどうしたんですか。


そんなの楽しいに決まってるじゃないですか。』



そらるさんの方は水に洗い物を続ける。だけど、そらるさんの息が触れる耳は自分でもわかるくらい熱を持っている。



「俺と、一緒にいるの嫌じゃない？」

腰に回した手に拳をつくって、だけど少し自信がなさげな声で聞いてくる。



どうしたんだろう。こんなそらるさん珍しい。


嫌ってなんなんだ。いやならご飯なんて作らないし、ライブもしない。恋人になんてもっとなってないし、こんな状況でそらるさんを振り払えないのも。



『好きです。そらるさん。』


こう思っているからで。




洗い物を一旦止め手を洗いそらるさんの方を向く。



『嫌なわけないでしょ。好きなんですから。』

真っ正面でこんなはっきり言ったことはあっただろうか。こんなそらるさんを見たら不安になる。不安になんてさせないで。

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