続・真夏の強化合宿【佐久間咲也】 ページ15
午前中から出発した俺達が合宿所についたのは、日差しが真上で照りつける正午だった。
各々荷物を部屋に置いたら稽古場集合となり、俺は真澄くんと共に自身の部屋へ荷物を置きに行った。
必要な物を準備していざ稽古場へ向かう途中で、俺は忘れ物をしていたことに気づいた。
咲「ごめん真澄くん！俺忘れ物しちゃったから先に行ってて！」
真「わかった」
自室に戻って忘れ物を回収し、稽古場へ向かおうと部屋を出たときちょうどAさんが前を通りかかった。
『あ、咲也くん』
咲「Aさん！もしかしてその大量の荷物、稽古場に運ぶんですか？」
『うん、面倒だから一気に持って行こうとしたんだけど失敗だったかな』
咲「俺も持ちます！」
Aさんから半分ほど荷物をもらう。見た目以上の重量に腕が震えた。
重量の増した俺達が木造の床を踏み歩くと、二つ分を軋んだ音が聞こえる。
『ありがとう咲也くん。助かったよ』
咲「いえ！困った時はお互い様です！」
『咲也くんは力持ちだね』
咲「えへへ…でも丞さんに比べたら俺なんてまだまだです」
談笑しながら歩みを進めると少し高めの段差があることに気がついた。
Aさんは数歩だけ俺の前を歩いているが、気づいてるだろうか。
そんな俺の不安は的中してしまい、大きな荷物を持ったAさんのつま先は段差に取られる。
『！』
咲「危ない！！」
持っていた荷物をすべて放り投げ、Aさんを強く抱きしめる。
背中に大きな衝撃が走り、ビリビリと熱く痛んだ。
『咲也くん！』
咲「っ……Aさん、大丈夫ですか？」
『俺のことより咲也くん、背中見せて！』
咲「だっ大丈夫です！大したことないです！」
Aさんは縋るように俺を見つめていた。
大きくこぼれ落ちそうな瞳に、俺の心臓は跳ね上がる。
『だめ、稽古場ついたらすぐ咲也くんの手当てするからね』
咲「す、すいません…」
『謝らないで。助けてくれて、ありがとう』
咲「っ…はい！」
少し困ったように眉を下げながら微笑んだAさん。
俺は彼を助けることができた安心感と共に、少しだけカッコいいところを見せられていたらいいなと、心密かに思っていた。
終わり
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なる(プロフ) - 求めてた主人公…面白いです！！！ (2019年11月20日 14時) (
レス) id: 6c98839274 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すごくおもしろかったです！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 94bf85f3ba (このIDを非表示/違反報告)
とりさん(プロフ) - 是非、続きが見たいです！ (2018年12月15日 0時) (レス) id: b16a249822 (このIDを非表示/違反報告)
たかはし(プロフ) - いやもうこれあかんですよ……私のツボを的確に押してくる感じ……あなた神ですか？ (2018年9月15日 23時) (レス) id: b1c8d6ac09 (このIDを非表示/違反報告)
朧流水斬(プロフ) - umiさん» 今更ながら勉強合唱という恥ずかしいミスを見つけてしまいました…失礼しました！合宿です！ぜひまたリクエスト失礼しますね！ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 5d1985f1dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：上原 | 作成日時：2018年7月20日 23時
