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Act.18 古市 左京 ページ19

朝、目が覚めていつも通り支度をする。

学生組はもう起きている時間だろう(一部を除いて)

俺は支度を終え談話室へ向かう途中、バルコニーにある人影に気づいた。



朝日に照らされ光るその黒髪に、俺は見覚えがあった。



体格は子供の頃と比べたらだいぶ変わったが、この年月を考えれば何ら不思議ではない。




左「A…?」

『へ…?』



突然名前を呼ばれて驚いたであろう、その人物は俺の方を振り返った。

幼い頃から焦がれた、あの紫の瞳がある。


やっと、会えた。



左「Aだよな…?」

『そうですけど……すいません、どちら様ですか?』




どうやらAは俺のことを覚えていないらしい。

そりゃそうだ、仲が良かったとはいえかなり昔のことだ。

俺は監督さんのときのデジャヴを感じ、自嘲気味に笑った。




左「すまねぇ。俺は古市左京だ。お前が昨日から入寮した三浦Aだよな」

『あ、はい、そうです』

左「監督さんから話は聞いている。昨日俺は出ずっぱりでな、寮にいられなかったんだ」

『そうだったんですね。宜しくお願いします』




昔は仲が良かっただけに、こう他人行儀だと調子が狂う。

俺はずっとコイツに焦がれていた。

やっと会えたというのに、もどかしくてしょうがない。



『…左京さん』

左「ん?」

『俺と、どこかで会ったことあります?』

左「ーーっ」



まさか、と淡い希望を抱いた。

でも見たところ確信を持って言ったというよりは、おそるおそるといった感じだ。

俺はすぐにでも話したくなったが、グッと堪えた。



左「気のせいじゃねえか」

『そうですかね…』



Aは少しばかり頭をひねったがやがてそれも辞めた。

だがコイツは、とことん俺の期待を煽ってきやがる。




『でもきっと、会ったことあると思うんです』

左「……」

『きっと思い出してみせるので、もう少しだけ待っててください』




そう言ったAは俺のことを懐かしむように見つめながら微笑んだ。

男とは思えねぇツラで微笑まれるもんだから、俺は柄にもなく照れてしまい、顔を背ける。




左「あぁ、楽しみにしといてやる」

『?なんか左京さん顔赤くなってません?』

左「なってねぇ!」




早く俺のこと思い出せよ、A。

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作品ジャンル:恋愛
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みうら(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!不定期更新にはなりますが頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月5日 3時) (レス) id: 35ea4b997f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白いです。続き楽しみにしてます。頑張ってください!応援してます。 (2018年7月5日 1時) (レス) id: a38a23f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めぐりさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月4日 20時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 大好きです!応援してます! (2018年7月3日 21時) (レス) id: 993c3cdf12 (このIDを非表示/違反報告)
みうら(プロフ) - なかやさん» 閲覧・コメント・応援ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします◎ (2018年6月25日 17時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:上原 | 作成日時:2018年6月22日 20時

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